2011 Fiscal Year Annual Research Report
担体捕捉による細胞内集積を基盤とした新規腫瘍イメージング放射性分子プローブの開発
Project/Area Number |
22790035
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Research Institution | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
Principal Investigator |
河嶋 秀和 独立行政法人国立循環器病研究センター, 画像診断医学部, 室長 (70359438)
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Keywords | 腫瘍 / 分子イメージング / RI-DDS |
Research Abstract |
I型ペプチドトランスポーター(PEPT1)は、H~+との共輸送によりジペプチドやペプチド様化合物を細胞内に取り込む担体であり、腫瘍細胞膜における高発現が報告されている。本研究では、PEPT1による効率的な細胞内送達を利用した、腫瘍の高精度かつ高感度イメージングに資する新規代謝捕捉型放射性分子プローブの開発を目的とした。昨年度は、phenylalanineと2-[^<18>F]fluoronicotinic acidとをペプチド結合をさせた分子(2-[^<18>F]FNA-Phe)を標識合成し、本化合物がPEPT1を介してヒト膵臓癌細胞(AsPC-1)に取り込まれることを示した。 そこで、平成23年度は、AsPC-1の皮下接種により作製した担癌BALB/cヌードマウスを用い、本化合物の体内動態を測定した。すなわち、モデル動物に2-[^<18>F]FNA-Pheあるいは[^<18>F]FDG(糖代謝イメージング薬)を静脈内投与し、経時的に臓器を摘出、臓器単位重量あたりの放射能集積を算出した。その結果、2[^<18>F]FNA-Pheは投与30分後の時点で腫瘍に1.5%ID/g、60分後で1.1%ID/g集積した。また、テレピン油の皮下投与により同一個体で作製した炎症性組織と比較したところ、投与60分後における放射能集積量の腫瘍/炎症組織比は3.7であった。この値は腫瘍診断に汎用される[^<18>F]FDG(0.71)よりも有意に高く、本化合物による腫瘍と炎症の鑑別の可能性が示された。さらに、2-[^<18>F]FNA-Phe(10MBq)を静脈内投与し、60分後にPET撮像を行った結果、腫瘍を明瞭に描出できた。 以上の結果から、2-[^<18>F]FNA-Pheが、PEPT1を利用した腫瘍選択的イメージングプローブとして有用であることが示され、研究目的が達成された。
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