2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニオソームを利用した抗がん剤の新規デリバリーシステムの設計と開発
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22790036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大河原 賢一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (30291470)
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Keywords | ニオソーム / ドラッグデリバリーシステム / 非イオン性界面活性剤 / 抗がん剤 |
Research Abstract |
ニオソームは、主に非イオン性界面活性剤とコレステロールにより構成された二重膜で形成される閉鎖小胞であり、リポソームと類似した構造的特徴を有する分子集合体の総称である。合成品である非イオン性界面活性剤は、リン脂質とは異なり、純度が高くかつ安価であることから、既に臨床応用されているリポソームに比べ、ニオソームの調製は遥かに低コストであり、有望な薬物キャリアであると考えられる。しかしながら、非イオン性界面活性剤は、その基本骨格あるいは物性により、棒状ミセル、球状ミセル、二重膜構造といった様々な形態の分子集合体を形成することが知られており、二重膜構造に覆われた閉鎖小胞であるニオソームを形成するために、非イオン性界面活性剤が具備すべき条件に関しては、不明な点が多いのが現状である。そこで本研究課題では、多くの非イオン性界面活性剤を用いてニオソームの調製を試みることにより、ニオソームを形成するために、非イオン性界面活性剤が具備するべき条件について体系的に整理することを目標として設定した。本年度は、前年度の検討により安全性が高く有用なニオソームを形成可能であることが示された非イオン性界面活性剤を用いて、抗がん剤であるドキソルビシンを内封した5種類のニオソーム製剤を調製した。更に、それらの体内動態特性、及び抗腫瘍効果に関して多面的な評価を加えることにより、有効且つ安全なドキソルビシン内封ニオソーム製剤の設計・開発を行った。その結果、検討を加えた製剤のうち、Brij52あるいはショ糖エステル(S-970)を基本成分として用いたニオソーム製剤において、優れた体内動態特性と顕著な抗腫瘍効果を示すことが明らかとなった。
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