2010 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸親和性電気泳動に基づく蛋白質二重翻訳後修飾の同時検出法の開発とその応用
Project/Area Number |
22790037
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木下 恵美子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40379912)
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Keywords | ナノ材料 / 分子認識 / 蛋白質 / バイオテクノロジー / 分析化学 / リン酸化 / フォスタグ / 電気泳動 |
Research Abstract |
ある蛋白質の1種類の翻訳後修飾が分子スイッチとして機能することで別の翻訳後修飾が稼働し,さらにそれらの修飾が複数の蛋白質群との複合体形成のために必須であるといった細胞内シグナリングが多くの研究成果より明らかになってきている。このような知見を得るためには,従来法では,それぞれの翻訳後修飾を検出するための抗体を用いてウェスタン解析を繰り返し行う必要があった。しかし,この方法では,過剰な化学反応修飾やその経時的な修飾ステップなど,蛋白質の詳細な翻訳後修飾反応をモニタリングすることは困難である。そこで本研究では,蛋白質のリン酸化修飾を軸とした複雑で多様なネットワークを理解するための高性能な分析技法を開発することを目的とする。当該年度では,フォスタグを用いたリン酸親和性2次元電気泳動法の原理を基盤とした蛋白質ダブル翻訳後修飾の同時検出法の開発を試みた。以下に研究の成果を列記する。 1)フォスタグを用いたリン酸親和性電気泳動にBis-Tris-HClの中性pH緩衝液系を適用させることでリン酸化蛋白質の分離能が著しく改善した。 2)通常のSDS-PAGE法と上記の中性pH環境下でのリン酸親和性電気泳動法を組み合わせた2次元電気泳動を行うことで,βカテニンのユビキチン化とリン酸化の同時検出,並びに,これら修飾反応の経時的ステップのモニタリングに成功した。 上記したような著しく分離能の改善したリン酸親和性電気泳動法を開発したことにより,より幅広いリン酸化蛋白質の解析に応用できるものと期待している。来年度は,より感度の高い蛋白質ダブル翻訳後修飾の同時解析のためにディファレンシャル検出のコンビネーションに展開していく。 なお,これまでの成果は2010年12月9日に神戸で開催の第33回日本分子生物学会・第83回日本生化学学会年会等で発表した。
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Research Products
(8 results)