2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790038
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 健一 九州大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (60346806)
|
Keywords | 脂質ラジカル / 磁気共鳴 / ニトロキシド / 蛍光 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
酸化ストレスは、生活習慣病などの原因として広く認知されている。しかしながら、その疾患を誘発するキーファクターのひとつである脂質ラジカルの検出手法は、未だ確立していない。そこで、本研究では、蛍光物質を利用した脂質ラジカルの新たな検出手法の開発と、疾患モデルへの適用を目的とした。本年度は、脂質ラジカルを検出するための有機スピン化合物の合成、並びに蛍光団とスピン分子との反応性、さらにモデル系を用いて手法の評価を行った。 有機スピン化合物であるニトロキシド化合物のラジカル近傍に異なる性質の置換基を導入することにより、脂質ラジカルとの結合を安定化できるのではないかと考えた。そこで、新規合成法を用いて合成し評価したところ、新規化合物が脂質ラジカルに対し数倍高い反応性を示すことを見出した。また、蛍光物質が不対電子存在下、消光反応を示すことに着目し、ニトロキシド化合物が脂質ラジカルと結合すると光る(不対電子消失のため)、新たな検出試薬の開発に成功した。以上の検討を基に、モデル系としてリノール酸/リポキシゲナーゼ系で産生する脂質ラジカルに適用した。その結果、本化合物を用いることで、脂質ラジカルを検出できることを、ESR(ラジカル検出)、HPLC(蛍光検出、分離)、LC-MS(分離、質量解析)にて解析できた。 脂質ラジカルは、これまで検出されてきた二次代謝産物(MDAなど)の上流に位置し、将来的にメタボローム解析の一翼を担う可能性がある。今後、酸素濃度の影響や酸化ストレス疾患モデル動物を用いた検討を計画している。
|