2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790038
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 健一 九州大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (60346806)
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Keywords | 脂質ラジカル / 磁気共鳴 / ニトロキシド / 酸化ストレス / 蛍光 |
Research Abstract |
生体内で生じる酸化ストレスは、生活習慣病などの原因として広く認知されている。しかしながら、その疾患を誘発するキーファクターである脂質ラジカルの検出手法は、未だ確立していない。我々は昨年度までに蛍光ニトロキシドを開発し脂質ラジカルを検出できることを示してきた。これは、ニトロキシドと脂質ラジカルのラジカル-ラジカル結合により不対電子の消失による蛍光消光解除を利用したものである。一方、現在酸化ストレスの評価法として脂質過酸化生成物の定量が広く用いられているが、脂質過酸化反応には酸素分子が深く関与し、生体内の酸素濃度は部位により大きく異なる。そこで本研究では、蛍光ニトロキシドの特性を利用して、低酸素条件下における脂質ラジカル検出手法の開発を目的とした。さらに、疾患モデルへ適用した。 昨年度開発した方法を用いて蛍光ニトロキシドを合成した。低酸素条件下で、リノール酸、及びラット肝ミクロソームの脂質過酸化を惹起し、スピントラップ、TBARs値測定を行った。さらに、蛍光ニトロキシドの蛍光強度変化から脂質ラジカルの検出を行った。その結果、低酸素条件下においてスピントラップ法から、炭素中心ラジカルの生成量が増加しを、TBARs法から脂質過酸化生成物量が低下することがわかった。さらに、低酸素条件下ではDansyl-TEMPOの蛍光強度が増強した。また、腫瘍組織にて生成する脂質ラジカルを検出とその構造推定を行い、癌の発症・進展に脂質ラジカルが生成していることを示した。以上の結果より、蛍光ニトロキシドは低酸素条件下で発生する脂質ラジカルの検出が可能であることが示された。今後、この手法を利用して、酸化ストレス疾患の発症・進行における脂質ラジカルの変動が解析可能になると考えられる。
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