2011 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素で近赤外蛍光を発するインビボ腫瘍イメージングプローブの論理的分子設計と合成
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22790042
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
奥田 健介 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (00311796)
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Keywords | 癌 / 分析科学 / 低酸素 / インビボ / イメージング / 近赤外蛍光 / 高感度 / 非侵襲性 |
Research Abstract |
本研究は、浸潤・転移、血管新生といった癌の悪性化と密接に関わり、がん治療上重要な標的である低酸素がん細胞を特異的かつ非侵襲的に生きた状態で可視化することを目的とするものである。そのために、生体組織透過性に優れ自家蛍光の影響の小さな波長領域である近赤外領域の蛍光に着目した。 前年度においては、フロンティア軌道と蛍光特性の関連性に基づくプローブ分子設計の原理に注目し、低酸素領域特異的なニトロアレーンの還元的代謝反応に基づいた分子の設計・合成ならびに評価を行った。その結果、近赤外蛍光色素としてはインドレニン5-位にメトキシ基を導入したトリカルボシアニン誘導体を用い、一方のインドレニン窒素原子に3,5-ジニトロベンジル基を導入した化合物の光学特性を評価したところ、本化合物は蛍光を持たないものの、化学的にジアミノ体へと還元された際に蛍光が近赤外領域にて約10倍に増大することを見出した。ニトロレダクターゼを用いた酵素反応の結果からも、還元反応の進行とともに蛍光が増強することを見出し、本プローブが酵素反応の基質として働くことを確認した。 今年度においては、上述の選抜化合物を用いてさらなる評価・検討を行った。まずヒト肺癌由来A549細胞の溶解液を用いて機能評価を行った所、常酸素環境下では蛍光強度がさほど変化しないのに対して低酸素環境下では優位に蛍光強度が増大し、36時間後に最大に達した。さらにA549細胞のライブセルイメージングを行った所、常酸素培養下に比較して低酸素培養下で優位な蛍光強度の増大が認められ、12時間後に最大に達した。以上の結果より、本プローブがin vitroレベルで低酸素がん細胞を近赤外蛍光で可視化することが明らかとなった。 引き続き、担がんマウスを用いたin vivoダイレクトイメージングによって低酸素癌組織への集積性を検討し、現在結果の解析を行っている。
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