Research Abstract |
本研究は,遺伝子組換え技衛及びエマルション技衛を駆使して,"新規経口アルブミン製剤"を開発することを目的として企図された. 1)遺伝子組換えアルブミン変異体を用いた,抗酸化アミノ酸残基の探索 ヒト血清アルブミン(HSA)は内因性の抗酸化物質として認識されており,特に34位に唯一ブリーで存在するシステイン残基(Cys)及び構造上6つ存在するメチオニン残基(Met)がその作用を担うことが知られている.しかしながら,種々の活性酸素及び活性窒素に対して,それらアミノ酸残基がどの程度寄与しているか依然として不明であった。我々は,Yeast-E.coliのシャトルベクターpPIC9上にHSAcDNAを挿入し,部位特異的変異法により,Cys,Metをそれぞれ全てアラニンへ置換させた変異体,及び両種を全て置換させた変異体を用いて,種々の活性酸素種に対する抗酸化活性を測定した.その結果,Cysが全ての活性酸素種に対し,HSAが示す抗酸化能の50%以上に寄与すること,一方,Metは過酸化水素及びスーパーオキサイドに対して特異的に強い抗酸化作用を示すことが明らかとなった.今後,これら抗酸化アミノ酸残基の情報も考慮し,膜透過性に優れたHSA変異体を作製することが必要であると考えられた. 2)統計学的手法を用いたHAS-マイクロスフェアの調製と評価 数種類の生分解性高分子(乳酸重合体(PLA),乳酸-グリコール酸重合体(PLGA))を用いてHAS-マイクロスフェアを調製し,粒度分布,SEMを用いた粒子表面の観察,加えてin vitroにおけるアルブミンの放出特性などを検討した.その結果,分子量が比較的なPLAを用いることで,球形でかつ表面も非常に滑らかな粒子を得ることができ,かつHSA放出が遅くなることまで明らかとなった.現在,それら結果を基に,統計学的手法を用いて,製造条件の最適化を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,消化管上皮細胞への透過性亢進が認められるようなアミノ酸残基の情報が徐々に集まっており,また.エマルション技術も確立しつつある.これらを基に,あと一年で研究昌的を達成できると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた情報を取りまとめ,員的を達成できるような多重変異アルブミン変異体を作製する.その後,ナノ粒子化し,マウス,ラットなどに対するin vitroの動物実験を進めていく予定である.
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