2011 Fiscal Year Annual Research Report
先端的がん治療に向けた全身投与型siRNAデリバリーシステムの開発
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22790045
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
浅井 知浩 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00381731)
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Keywords | RNA干渉 / siRNA / がん / DDS / リポソーム |
Research Abstract |
Small interfering RNA(siRNA)を用いたRNA干渉法は、核酸医薬の創薬において最も実用化に近い技術として注目を集めているが、その医療応用には核酸デリバリーシステムの開発が欠かせない。本研究課題では、siRNA全身投与によるがん治療を実現しうるデリバリーシステムの構築を目指し、ナノDDS技術とsiRNAの化学修飾技術の融合によって斬新なナノ粒子の開発を試みた。siRNAベクターとしては、dicetylphosphate-tetraethylenepentaamine(DCP-TEPA)を主成分とし、ポリエチレングリコール(PEG)およびArg-Gly-Asp(RGD)ペプチドでナノ粒子の表面を修飾した全身投与型のポリカチオンリポソーム(TEPA-PCL)を用いた。siRNAの化学修飾は、コレステロールをsiRNAのセンス鎖3'末端に共有結合によって付加した。当該年度は、担がんマウスを用いたin vivoにおけるRNA干渉試験、同マウスを用いたポジトロン断層法による体内動態解析、off-target効果の一指標としてのサイトカイン応答に関する検討などについて研究を行った。その結果、ルシフェラーゼを恒常的に発現するA549ヒト肺がん細胞を移植したマウスの実験系において、配列特異的なRNA干渉効果が観察された。サイトカイン応答の実験結果からもin vivoにおけるノックダウン効果がRNA干渉による選択的な事象であることが示唆された。また、ポジトロン標識siRNAを用い、担がんマウスにおける体内動態を解析し、ナノ粒子のPEG化の効果およびRGDペプチドの標的化効果を検証した。検証結果をナノ粒子設計にフィードバックし、siRNAデリバリーシステムの改善を行った。本年度は、配列特異的なRNA干渉効果をin vivoで示すことに成功しており、次年度は治療効果に重点をおいて研究をすすめる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の研究計画通りに実験を行い、良好なデータが得られている。このまま当初の計画を遂行することにより、研究の目的を達成できる可能性は高いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は、当初の研究計画に沿うものであり、変更はない。
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