2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内微小環境変化を検知するバイオハイブリッド型蛍光プローブの開発
Project/Area Number |
22790048
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西尾 忠 慶應義塾大学, 薬学部, 助教 (80401892)
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Keywords | バイオハイブリッド型蛍光プローブ / 細胞内環境 / イメージング / 環境応答性ポリマー |
Research Abstract |
細胞内の温度やpHをはじめとする環境変化やシグナル伝達物質の精密な動態解析が可能となれば,病気の発症予測や進行度の検証,薬物療法を行った際の効果確認に非常に有用である.本研究では,環境刺激に鋭敏かつ可逆的に応答する機能性ポリマーを基盤とするバイオハイブリッド型蛍光プローブの開発と細胞内環境変化のイメージングを目的とした.本年度は前年度で開発した蛍光プローブのうち最も目的に即したものを選定し,細胞実験を行った.種々検討の結果,用いるプローブは次の3つのパーツから構成されるものを選択した,1)温度応答性ポリマー,ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド下[限臨界溶液温度(32℃)],2)クマリン誘導体(蛍光物質),3)フォスファチジルエタノールアミン誘導体(DOPE,膜融合脂質).このプローブは32℃を境に低温域で親水性-発光,高温域で疎水性-消光を示す.マクロファージ様細胞(RAW細胞)を用いて,プローブの細胞取り込み効率を共焦点レーザー顕微鏡観察にて評価した.この結果,プローブは6時間で細胞に取り込まれることを確認した.次いでプローブとDOPEを有さない蛍光ポリマー間で比較を行ったところ,前者がより効率的に細胞内に取り込まれることが確認された.さらに培養温度の違いによる比較を行ったところ,高温時にプローブがより多く細胞内に取り込まれることが明らかとなった.これは,高温下でプローブが疎水性を示し,細胞膜との親和性が向上したためと推察された.本研究により,環境応答性ポリマーに蛍光物質及びリガンド分子を結合させることで,標的細胞内の微小環境変化を検知する蛍光プローブ開発の可能性が示唆された.
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Research Products
(5 results)