2011 Fiscal Year Annual Research Report
水環境中および食品中におけるネオニコチノイド系農薬の存在実態と分解挙動
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22790050
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
川口 里恵 (伊藤 里恵) 星薬科大学, 薬学部, 助教 (90398892)
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Keywords | 分析法構築 / ネオニコチノイド系農薬 / 食品分析 / 環境分析 |
Research Abstract |
近年、有機リン系殺虫剤に替わる農薬として、ネオニコチノイド系殺虫剤が広く使用されている。しかしながら、ネオニコチノイド系殺虫剤は、他の農薬に比べて使用歴が浅いことから研究が遅れており、詳細な検討が必要となっている。平成23年度の研究として、食品試料中のネオニコチノイド系殺虫剤の分析法の構築を行った。前処理にはChem Elutケイソウ土カラムを用いた固相抽出法を選択した。ケイソウ土カラムからの溶出には酢酸エチルを用いて、乾固後に水/アセトニトリル混合溶媒に再溶解し、液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(LC-MS/MS)に供した。LC-MS/MS分析法のイオン化はエレクトロスプレーイオン化(ESI)、MRMポジティブイオンモードとした。本法によるネオニコチノイド系殺虫剤の検出下限値は、クロニアニジン、フロニカミド、イミダクロプリドが0.02ng/mLであり、アセタミプリド、チアクロプリドが0.005ng/mL、チアメトキサムが0.002ng/mLと高感度分析法が構築できた。ところで、ネオニコチノイドが問題視されたのは、ミツバチの大量死(CCD:蜂群崩壊症候群)の原因農薬として考えられたことによるため、食品試料としてハチミツを選択した。ハチミツを用いて添加回収試験を行った結果(10ng/mL添加)、チアメトキサムが50%程度と低かったものの、他は80%前後の回収率を示した。また、水環境試料の分析法としては、河川水を用いて検討を行い、同様の分析法が適用可能であると判断できたが、食品試料と同様、一部の回収率に課題が残る結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調ではあるものの、前処理法に課題があり、一部の農薬で低い回収率を示しており、改善が必要と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
食品試料および環境試料中の分析法を構築することができた。しかしながら、一部の農薬で回収率が低く、前処理により高選択的な手法を取り入れることで、改善したいと考える。平成24年度は存在実態の解明を中心に多検体処理を行う予定であったが、回収率の改善が優先と考え、分子認識能をもつ抽出基剤を用いた前処理法を検討する。
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