2012 Fiscal Year Annual Research Report
水環境中および食品中におけるネオニコチノイド系農薬の存在実態と分解挙動
Project/Area Number |
22790050
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
川口 里恵(伊藤里恵) 星薬科大学, 薬学部, 助教 (90398892)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ネオニコチノイド系農薬 / 分析法構築 / 食品分析 / 環境分析 |
Research Abstract |
固相抽出(SPE)-液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC-MS/MS)を用いた河川水中ネオニコチノイド系農薬の分析法を検討した。これまでに構築したハチミツを検体とした分析法を用いたところ、精度の点で良好な分析が達成されたが、河川水はハチミツ試料に比べ、粘性も低く夾雑成分も大きく異なることから、より簡便な前処理法での分析を試みることとした。ハチミツ試料で使用していた、前処理用の固相抽出カラムは、実際にはカートリッジ中で液液抽出を行うものであり、河川水試料においては、より汎用性の高いカートリッジに変更したところ、前処理にかかる時間が短縮された。質量分析の測定条件はハチミツ試料の分析法と同じに設定したところ、標準品を添加した河川水中での分析を達成することができた。しかしながら実際の河川水から検出されるネオニコチノイド系農薬は非常に微量であり、感度の点で課題が残った。 河川水試料は大量に採取できるが、大量の河川水を用いた分析法は、分析室までの運搬コストが高く、実用性に乏しいと考え、検体量の低減化を図っていた。しかしながら、河川水の検体量を少量にした場合、ある程度の河川水を使用した場合と比較し、最終検液量が同じ場合は、濃縮率が悪くなるため、結果として前処理を含めた分析法全体の検出下限値が高くなる。検体となる河川水量を増やし、高濃縮を実施し検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでは、有機リン系農薬などの目標値を基に、河川水中のネオニコチノイド系農薬の分析法を構築してきた。しかしながら、最近報告されたネオニコチノイド系農薬の河川水中濃度は、季節変動はあるものの、その濃度がごく微量であったため、構築してきた分析法では、検出下限値以下となってしまう。そこで、分析法を改良する必要が出てきたため、本来の実験計画よりもやや遅れているが、その他、食品試料の分析法については、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
環境試料として河川水や食品試料としてのハチミツを選択し、これらの資料を用いて前処理法を含めた分析法を検討する。予測される環境中や食品中でのネオニコチノイド系農薬の濃度と比較し、分析法の検出感度に一部問題が残ったため、分析法の改良を行うこととする。前処理に固相抽出(SPE)法を用いた場合、一部のネオニコチノイド系農薬で充填剤への保持が悪く回収率が低かったため、新規充填剤を含めた数種の固相抽出法を検討する予定である。また、スループット向上のために迅速分析法が必須であることから、液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC-MS/MS)において、コアシェルカラムを用いて検討し、その視点を活かした迅速分析法を構築する。 河川水試料においては、環境中での予測濃度が非常に低濃度であったため、検体量を増やして濃縮率を上げ、検出下限値を引き下げることを試みる。この場合、濃縮率が高くなるために、ネオニコチノイド系農薬と同様の挙動を示すような夾雑成分も高濃度に濃縮してしまうことから、場合によってはLCの分離パラメータを再検討する必要があると考える。
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