2011 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲的な肺内送達量評価に基づくテーラーメイド型抗癌剤粉末吸入療法の確立
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22790051
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
奥田 知将 名城大学, 薬学部, 助教 (20513857)
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Keywords | 粉末吸入製剤 / 近赤外蛍光ラベル / in vivoイメージング / 肺癌治療 / 肺内送達 / テーラーメイド医療 / 噴霧急速凍結乾燥法 / 多孔性微粒子 |
Research Abstract |
本年度は前年度に最適化した近赤外蛍光ラベル化抗癌剤粉末吸入製剤を用いて、マウス肺内投与後の抗癌剤の体内動態を解析するとともに、in vivo近赤外蛍光イメージングによる肺内送達量評価とその後の癌治療効果ならびに毒性との相関性について検討した。また粉末製剤肺内到達後の抗癌剤の膜透過性を反映するin vitro評価系として気-液界面培養評価系を作成し、当研究室が開発した簡易分散添加デバイスと組み合わせて粉末製剤分散添加後の抗癌剤の膜透過性を評価した。抗癌剤として用いたドキソルビシン(DOX)の粉末製剤肺内投与後の体内動態について、投与後初期では静脈内投与よりも高濃度の肺内分布が認められる一方、時間経過に伴い全身へと移行し、肺以外の組織についてはほぼ静脈内投与と同様の分布を示した。肺転移癌モデルマウスを用いた癌治療評価において、粉末製剤の投与回数増加に伴い、癌治療効果の増強が認められた。また近赤外蛍光ラベル剤として用いたインドシアニングリーン(ICG)由来の肺内蛍光強度も投与回数増加に伴い増大し、肺内送達量評価と癌治療効果の間に相関傾向が認められた。一方、体重変化および血液マーカーについては投与回数ならびに肺内送達量による大きな変動は認められず、高い安全性が確認できた。ヒト気道上皮癌(Calu-3)細胞を用いて作成した気-液界面培養評価系による膜透過性評価で、粉末製剤添加群は同組成溶液添加群よりも高いDOXの膜透過性を示した。これは粉末製剤が上皮細胞膜上の少量の水分で溶解した後に生じる高濃度曝露によるものと考えられる。以上、テーラーメイド型抗癌剤粉末吸入療法の確立に向けた本研究の成果として、更なる改善は必要であるものの近赤外蛍光ラベル化による非侵襲性肺内送達量評価の有用性を見出すとともに、抗癌剤粉末吸入製剤が肺に到達した後の抗癌剤の特徴的な吸収性ならびに組織分布について有益な情報を提供するものと考えられる。
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Research Products
(3 results)