2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790053
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森田 真也 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (20449870)
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Keywords | ABCB4 / 細胞膜 / タウロコール酸 / 脂質ラフト / ホスファチジルコリン / スフィンゴミエリン / コレステロール / ホスファチジルエタノールアミン |
Research Abstract |
ABCB4は、肝細胞毛細胆管膜に発現しており、胆汁酸依存的にリン脂質、主にホスファチジルコリン(PC)を胆汁中へと排出している。ABCB4変異により胆汁鬱滞や胆石症が生じ、深刻な肝疾患となることが知られている。また、ABCB4と多剤排出トランスポーターABCB1のアミノ酸配列相同性は非常に高い(86%)が、お互いの機能は代替できない。脂質ラフトは、細胞膜上のスフィンゴミエリン(SM)やコレステロール(Cho1)に富んだ領域で、TritonX-100(TX-100)不溶性画分として単離される。本課題では、細胞膜上のABCB4の機能と脂質ラフトとの関係について調べた。ABCB4およびABCB1は、ラフト画分に比べ、非ラフト画分に多く局在していた。ABCB4の発現により、非ラフト画分では、PC・ホスファチジルエタノールアミン(PE)およびSMが増加し、Cho1は変化しなかった。一方、ラフト画分では、ABCB4の発現によってSMとCho1が増加し、PCとPEは変化しなかった。ABCB1発現では、ラフト画分のCho1のみわずかに増加したが、他の脂質に有意な変化はなかった。タウロコール酸により、ABCB4発現細胞からのPCとCho1の排出が著しく促進され、PEとSMの排出もわずかだが有意に増加した。ABCB4発現細胞からのこれらの脂質排出は、非ラフト画分に分布するBODIPY-ベラパミルの添加によって完全に阻害された。しかし、ABCB1基質であるBODIPY-ベラパミルの細胞内蓄積量に、ABCB4発現は影響を与えなかった。以上の結果より、ABCB4は、細胞膜脂質組成を変化させることでラフト形成に影響を与え、非ラフトに局在するABCB4が、脂質排出において主に機能していると考えられる。
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Research Products
(14 results)