2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニーマンピック病C型の神経変性におけるアラキドン酸カスケードの関与の解明
Project/Area Number |
22790056
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中村 浩之 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (20447311)
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Keywords | ニーマンピック病C型 / アラキドン酸カスケード / ホスホリパーゼA2 / コレステロール / 脂質代謝異常 |
Research Abstract |
ニーマンピック病C型(NPC)モデル細胞におけるアラキドン酸代謝の変化を検討するために、まずCHO(チャイニーズハムスター卵巣由来)細胞由来のNPC1欠損細胞を用いて解析を行い、NPC1欠損細胞ではコントロール細胞に比べて細胞質型ホスホリパーゼA2α(cPLA2α)依存的なアラキドン酸遊離およびプロスタグランジンE2の産生が亢進していることを明らかにした。このアラキドン酸遊離の亢進は細胞内コレステロールの蓄積に依存することもわかった。NPC1欠損細胞におけるシクロオキシゲナーゼ及びcPLA2αの発現量は、コントロール細胞と同程度だった。続いて、マウス線維芽細胞L929細胞において、細胞内コレステロール輸送を阻害する薬物U18666Aを処理して解析を行い、細胞内コレステロール蓄積に伴うcPLA2α依存的なアラキドン酸遊離の亢進がNADPHオキシダーゼに由来する活性酸素種の産生を促進し、細胞周期の遅れ及び細胞死を引き起こすことを明らかにした。また、NPC細胞においてコレステロールと共に蓄積しているスフィンゴ脂質がアラキドン酸遊離に与える影響を検討した。セラミドの合成が欠落しているLY-B細胞およびスフィンゴミエリンの合成が欠落しているLY-A細胞(共にCHO細胞の変異株)を用いて解析を行い、スフィンゴミエリンがcPLA2αと直接的に相互作用し、膜への結合を阻害することで酵素活性を抑制することを明らかにした。
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