2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニーマンピック病C型の神経変性におけるアラキドン酸カスケードの関与の解明
Project/Area Number |
22790056
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中村 浩之 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (20447311)
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Keywords | ニーマンピック病C型 / アラキドン酸カスケード / ホスホリパーゼA2 / コレステロール / 脂質代謝異常 |
Research Abstract |
本年度は、ニーマンピック病C型(NPC)モデル細胞におけるアラキドン酸代謝の検討、及びNPCで蓄積しているスフィンゴ糖脂質がアラキドン酸代謝に与える影響を検討し、以下のことを明らかにした。 1)NPC細胞では細胞質型ホスホリパーゼA2α(cPLA2α)依存的なアラキドン酸代謝が亢進しており、これが原因でNADPHオキシダーゼに由来する活性酸素種の産生が亢進し、細胞周期の遅延及び細胞死を引き起こすことを明らかにした。NPC細胞でのアラキドン酸代謝の亢進は細胞内コレステロールの蓄積が関与していることを明らかにした。 2)NPC細胞では分泌性PLA2(sPLA2)依存的なアラキドン酸代謝も亢進していることが判明した。また、ニーマンピック病A型モデル細胞においてもsPLA2によるアラキドン酸代謝が亢進していることを明らかにした。さらに、スフィンゴミエリンがsPLA2の活性制御を担う可能性が示唆された。 3)スフィンゴ糖脂質のラクトシルセラミド(LacCer)がcPLA2αを直接的に活性化することを明らかにした。LacCerはcPLA2αのトランスロケーションを誘発し、またin vitroにおいてもcPLA2αを活性化した。LacCerはcPLA2αのC2ドメインに結合することが判明した。さらに、腫瘍壊死因子TNF-αはLacCerの産生上昇を介してcPLA2αを活性化し、アラキドン酸代謝を誘発することを明らかにした。
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