2011 Fiscal Year Annual Research Report
家族性パーキンソン病病因遺伝子産物LRRK2の生理・病理学的基質の探索
Project/Area Number |
22790058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 弦太 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10431892)
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Keywords | パーキンソン病 / キナーゼ / GTP結合蛋白質 |
Research Abstract |
優性遺伝性パーキンソン病(FPD)の一型であり、比較的頻度の高いPARK8の病因遺伝子としてLRRK2(leucine-rich repeat kinase 2)遺伝子が同定された。LRRK2蛋白質は、Ras様GTP結合ドメイン、プロテインキナーゼドメインを併せ持つ、2527アミノ酸からなる蛋白質である。FPD変異型LRRK2の過剰発現は神経毒性を有することが動物モデルおよび培養神経細胞モデルから明らかになっている。LRRK2の神経毒性はキナーゼ活性依存的に生じることから、LRRK2による基質蛋白質の過剰リン酸化が神経細胞死に重要である可能性が考えられている。しかしながら、これまでに細胞内においてLRRK2によりリン酸化される蛋白質は知られていなかった。本研究では、LRRK2による基質リン酸化が神経細胞変性に果たす役割を明らかにすることを目的として、まず新規LRRK2基質の探索を行った。LRRK2の基質配列特異性はThr-X-[Arg/Lys]-[Arg/Lys]であることから、この配列を有する蛋白質をデータベース検索した。昨年度に続き、ピックアップされた蛋白質のうち、複数の蛋白質がin vitroにおいてLRRK2によりリン酸化されることを見出した。また、LRRK2の自己リン酸化部位を二次元ホスホペプチドマッピング法により複数同定した。同定した自己リン酸化部位に対するリン酸化特異抗体を用いることで、LRRK2の細胞内におけるキナーゼ活性を検出することに成功した。この自己リン酸化部位を含む周辺のアミノ酸配列を、リン酸化Thrと特異的に結合するドメインと融合させ、さらにYFPとCFPで挟むことで、FRETプローブを作出することができる。これを用いることで、LRRK2の細胞内キナーゼ活性のリアルタイム検出法の開発につながると期待される。
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Research Products
(5 results)