2010 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性代謝産物、短鎖脂肪酸による交感神経系を介した生体内代謝制御機構の解明
Project/Area Number |
22790065
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 郁夫 京都大学, 薬学研究科, 助教 (80433689)
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Keywords | 脂肪酸受容体 / 交感神経 / ノックアウトマウス / GPCR / 短鎖脂肪酸 |
Research Abstract |
当研究室においては既にGPR41KOマウスの作出に成功している。したがってGPR41受容体の個体レベルでの機能解明のため、GPR41KOマウスの表現型をまず詳細に調べた。本年度は、まずGPR41の交感神経系およびそれに関連する、代謝における生体内機能をシステム生物学的アプローチにより明らかにした。今回の研究成果により、腸内細菌代謝産物を認識する脂肪酸受容体GPR41が交感神経節特異的に発現していることを明らかにした。さらに、GPR41ノックアウトマウスを用いて、GPR41の内因性リガンドである、短鎖脂肪酸投与実験により、短鎖脂肪酸はGPR41を介して交感神経系を活性化し、その結果、エネルギー消費を高めることを明らかにした。また、逆にケトン体の投与や、絶食・糖尿病時においてケトン体はGPR41の短鎖脂肪酸による交感神経活性を阻害することにより、交感神経系を抑制し、エネルギー消費を減少させた。このことは、食事により生体内で腸内細菌により産生される短鎖脂肪酸を、また、絶食により糖に代わるエネルギー源として産生されるケトン体をGPR41が体内栄養バランスとして認識し、生体内においてのエネルギーバランスを調節するという交感神経を介したエネルギー調節機構の存在を示唆する。次年度はさらに、このGPR41を介した交感神経活性化機構について、細胞レベルでの実験を行うことにより、GPR41による交感神経活性細胞内シグナルを明らかにする。
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