2011 Fiscal Year Annual Research Report
アスパラギン酸とプリン性化学伝達の生理的意義について
Project/Area Number |
22790067
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮地 孝明 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 助教 (40550314)
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Keywords | 小胞型ヌクレオチドトランスポーター / 小胞型興奮性アミノ酸トランスポーター / 化学伝達 / サラ病 |
Research Abstract |
神経は伝達物質をシナプス小胞内に濃縮しシナプス間隙に開口放出することで、後シナプス側にシグナルを伝達する(化学伝達)。我々は、アスパラギン酸、ATPをシナプス小胞内に濃縮する分子装置をそれぞれ世界に先駆け同定し、これらを小胞型興奮性アミノ酸トランスポーター(VEAT)、小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)と名付けた。本研究課題は、VEATとVNUTを通じ、アスパラギン酸及びプリン性化学伝達の生理的意義を解明することを目的とする。 本年度は、(1)これまでサラ病(遺伝病)がなぜ神経障害を引き起こすのかわかっていなかったが、サラ病を引き起こすVEAT変異体ではアスパラギン酸輸送活性が欠損していることを見いだした。(2)VNUTはATPを輸送するだけでなく、二価金属カチオンをATPとのキレート体として輸送することを見いだし、なぜATP含有分泌性小胞に二価金属カチオンが蓄積するのか明らかにした。(3)VEATとVNUTのノックアウトショウジョウバエを作成し、機能解析した結果、興味深い表規型を観察することができた(論文作成中)。以上の結果から、アスパラギン酸及びプリン性化学伝達の出力系の分子メカニズム、及びその生理的意義を明らかにし、サラ病などの新たな創薬ターゲットを示すことができた。
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