2010 Fiscal Year Annual Research Report
Bリンパ腫細胞膜上の分子間相互作用により制御されるシグナル伝達経路の解析
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22790071
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小谷 典弘 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (90342782)
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Keywords | 膜タンパク質 / 分子間相互作用 / B細胞リンパ腫 |
Research Abstract |
増殖因子受容体などの膜貫通タンパク質は細胞膜上をダイナミックに動き回り、その結果分子同士が特異的に会合する現象(細胞膜上分子間相互作用)が観察される。研究代表者は、本年度Bリンパ腫細胞膜上のCD20分子と相互作用する様々な細胞膜上分子を質量分析装置を用いたプロテオーム解析により解析し、それら分子間相互作用で制御されるシグナル経路および下流シグナル分子の推定を試みた。この際、研究代表者らが以前に開発した細胞膜上分子生化学的可視化法(Kotani N, et al. ProcNatl Acad Sci USA. (2008) 105 : 7405-9)により、CD20分子と相互作用する分子を特異的に標識したする技術を用いた。実験手法としては、まず、抗CD20抗体でありB細胞リンパ腫治療薬としても用いられる抗体医薬品リツキシマブにNHSを介してHorse radish peroxidaseを結合させた(細胞膜上分子生化学的可視化法に用いるプローブ)。次に、それをBリンパ腫細胞株として用いられているRaji細胞に37℃で20分間反応させ結合させた後、最近開発した細胞膜上分子生化学的可視化法の反応試薬であるarylazide-Fluoresceinを37℃で15分間反応させた。反応後の細胞をlysis bufferにて溶解後、arylazide-Fluoresceinにより標識されたCD20分子と相互作用する様々な細胞膜上分子を免疫沈降法により精製・濃縮した。これらを還元アルキル化し、トリプシン消化(37℃,overnight)によりペプチド化し、Cl8カラムを装着したnano-LCにより分画した後、MALDI-TOF/TOF MSによりショットガン解析した。その結果、HLA class IIやHSP-90など、約40個の相互作用タンパク質候補が同定された。HLA class IIに関しては、既にCD20と相互作用しているという報告があり、本研究の手法の有効性があらためて確認された。来年度は、リツキシマブがCD20に結合した際にこれら相互作用分子の下流に存在するシグナル経路が活性化されるか否か等を検討し、リツキシマブの薬効を誘導するシグナル経路等の解明につなげていく予定である。
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Research Products
(2 results)