2011 Fiscal Year Annual Research Report
Bリンパ腫細胞膜上の分子間相互作用により制御されるシグナル伝達経路の解析
Project/Area Number |
22790071
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小谷 典弘 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (90342782)
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Keywords | 膜タンパク質 / 分子間相互作用 / B細胞リンパ腫 |
Research Abstract |
増殖因子受容体などの膜貫通タンパク質は細胞膜上をダイナミックに動き回り、その結果分子同士が特異的に会合する現象(細胞膜上分子間相互作用)が観察される。研究代表者は、本研究年度以前にBリンパ腫細胞膜上のCD20分子と相互作用する様々な細胞膜上分子を抗体アレイやMALDI-TOF/TOF MSによるショットガン解析により同定した。その結果、FGFR3やHLA class II、HSP-90など約40個の相互作用タンパク質候補が同定された。本年度はこの内、リツキシマブがCD20に結合した際にFGFR3の下流に存在するシグナル経路が活性化されるか否か等を検討し、リツキシマブの薬効を誘導するシグナル経路の解明につながる研究を行った。まず、FGFR3の阻害剤であるPD173074をRaji細胞に処理し、リツキシマブ及びリツキシマブ同様に細胞障害活性を有する抗CD20抗体BLy-1を処理した。その結果、両抗体処理によるRaji細胞の細胞障害の程度が緩和された。さらに、FGFR3のsiRNA発現用ウイルスベクターを作製し、Raji細胞でFGFR3-kaockdown細胞を作製した。この細胞は、コントロールsiRNA細胞と比較してリツキシマブ及びBLy-1誘導細胞障害に対して抵抗性があった。これらの結果から、FGFR3が細胞障害活性に影響を及ぼしていることが判明した。次にリツキシマブ誘導細胞障害活性に関与するFGFR3の下流のシグナル分子を同定するために、リツキシマブ処理時に活性化もしくは不活性化される細胞障害誘導因子をアポトーシス関連因子抗体アレイ(R&D社)により同定を試みた。その結果、リツキシマブ処理によって有意に制御されているアポトーシス関連因子は見られなかった。そこで、細胞周期に関連するシグナルが関与している可能性を考慮し、DMSOにより細胞周期をG0期拘束したRaji細胞にリツキシマブ処理したところ、細胞障害活性に差が出たことから、FGFR3の下流で制御され、リツキシマブ誘導細胞障害活性に関与する因子は細胞周期関連因子であり、FGFR3及びCD20-リツキシマブ複合体形成はそれらの制御を経て細胞増殖を阻害している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)