2011 Fiscal Year Annual Research Report
種々の分子シャペロンのアルツハイマー病に対する効果
Project/Area Number |
22790073
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
星野 竜也 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (70457589)
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Keywords | 分子シャペロン / アルツハイマー / アミロイド |
Research Abstract |
我々はAPPトランスジェニックマウス(APPを過剰発現しているマウズで、βアミロイドの過剰産生、老人班の形成、認知機能低下などアルツハイマー病とよく似た症状を示す)とHSP70の過剰発現マウスを掛け合わせ、野生型マウスに比べHSP70の過剰発現マウスでは、アルツハイマー病の進行が抑制されることを見出した。そこで同様の方法で種々の分子シャペロンのアルツハイマー病の進行に対する効果を調べた。具体的には、APPトランスジェニックマウスと種々の分子シャペロンの過剰発現マウスを掛け合わせ、アルツハイマー病様症状(βナミロイドの産生、老人班の形成、認知機能低下など)が改善するかを調べた。その結果、複数の分子シャペロンがアルツハイマー病の進行を抑制することを示唆した。 一方我々はこれまで毒性のないHSP誘導剤を用いて、その有用性を示してきた。他の分子シャペロンに関して、その毒性のない誘導剤の検索を行った。スクリーニングは、我々が独自に入手した神経変性疾患に効くとされる約600種の漢方薬から行った。個々の分子シャペロン遺伝子のプロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子を挿入したプラスミドを作成し、それを保持した細胞を用いた系で一次スクリーニングを行い、イムノブロット法で二次スクリーニングを行った。毒性のない分子シャペロン誘導剤を得るために、三次スクリーニングではその漢方薬の細胞毒性を調べ、細胞毒性を示さない濃度で分子シャペロンを誘導する漢方薬を選択した。四次スクリーニングではその漢方薬をマウス脳内に注入し、分子シャペロンを誘導するかを検討した。以上のスクリーニングの結果、3種の生薬を選択した。そしてこの3種に対して、他の臓器の状態を精査し、副作用が表れていないかを調べた。現在、結果を総合的に判断し、アルツハイマー病治療薬としての有望な分子シャペロン誘導剤を決定している。
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Research Products
(3 results)