2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790074
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松永 俊之 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (80306274)
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Keywords | 癌 / 還元酵素 / 抗癌剤 / 過酸化脂質 |
Research Abstract |
ドキソルビシン(DOX)耐性大腸癌HT29細胞を調製し、その耐性細胞中の4種のアルドケト還元酵素(AKR)(1B10,1C1,1C2と1C3)発現量を測定した結果、4種全ての酵素の発現量を高めたが、AKR1B10の増加が著明であった。そこで、DOX耐性化に及ぼす強力なAKR1B10阻害剤クロメン誘導体の効果を検証したところ、AKR1B10阻害剤での処理はHT29細胞のDOX感受性を高めた。また、その感受性化は3種のAKR1Cサブファミリー酵素の阻害剤添加時にも見られたことから、それら4種のAKRの高発現がHT29細胞のDOX耐性化に関わることが示唆された。AKR1B10は細胞の増殖能に関わることが知られるため、各種濃度のDOXに耐性を持つHT29細胞を用いて細胞増殖能を調べたが、AKR1B10発現量と増殖能の間に有意な相関は見られなかった。それに対して、白金製剤オキサリプラチン(L-OHP)に耐性化したHT29細胞中のAKR1B10発現量はBrdUを指標とした増殖能と正の相関を示した。また、AKR1B10によるその抗癌剤耐性細胞の増殖機序の一つに、ファルネサールなどのイソプレノイドアルデヒドのアルコール体(ファルネソール)への還元やMAPキナーゼカスケードの活性化が関わることが示された。 多様な天然化合物のスクリーニングを行い、ブドウの皮に含まれるトリテルペノイドオレアノール酸に強力なAKRB10阻害効果があり、その酵素選択性は既知のAKR1B10阻害剤よりも高いことが判明した。また、オレアノール酸はHT29細胞のMMC感受性を顕著に高め、剛C耐性克服効果を示したことから、AKR1B10高選択的阻害剤オレアノール酸はMMCによる大腸癌治療時の補助化学療法剤として大変有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有力なAKR1B10活性調節物質等については未だ見出されていないが、当初予定していたマイトマイシンCやDOXだけでなく、白金製剤シスプラチンやL-OHPに対する抗癌剤耐性細胞におけるAKR1B10の役割についても評価することができた。これらの点から、研究計画に記した実施項目の進行度に若干の違いはあるが、おおむね予定通りに進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階において研究を遂行する上での問題点はほとんどないため、申請時の研究計画に基づいて研究を実施することを予定している。本年度は、昨年度までの研究において十分な検討ができなかった抗癌剤耐性化機序め検証(項目1,経路3と経路4)およびAKR1B10の活性調節機構(項目4)に重点をおいて実験を進めるつもりである。
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Research Products
(11 results)