2010 Fiscal Year Annual Research Report
食物アレルギーの寛解治療法の確立にむけた基礎的アプローチ
Project/Area Number |
22790075
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山下 弘高 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (40453055)
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Keywords | 免疫学 / 食物アレルギー / 経口免疫寛容 |
Research Abstract |
経口免疫寛容を誘導する細胞の同定 経口免疫寛容を誘導したマウス(ドナーマウス)の腸間膜リンパ節細胞から、FACSAriaIIによって免疫制御性CD4+CD25+Treg細胞、CD3+CD4-CD8+細胞、およびCD3+CD4+CD8-細胞に分取し、分取した細胞を無処置のマウス(レシピエントマウス)に移入し、レシピエントマウスに食物アレルギーの誘導を試みた。 その結果、制御性Tregを移入したレシピエントマウスにおいてのみ、免疫寛容が移植された。また、同様に分取した腸間膜リンパ節由来のCD11c+CD103+細胞(樹状細胞)の移入では、免疫寛容の移植は確認できなかった。 制御性Tregの移植では、経口免疫寛容を誘導しなかったマウスから採取したTregの移植においても、食物アレルギーの抑制が誘導されたことから、Tregの移入による免疫寛容の移植は、食品抗原に対する特異性がないことが推測された。このことは、一つの処置で網羅的に治療効果を及ぼす可能性が示唆され、複数の抗原に対して食物アレルギーを示す患者にとっては画期的な治療法の開発につながる結果であった。 食物アレルギーの発症における母子免疫の検討 食物アレルギー、もしくは食物アレルギーに対する経口免疫寛容を誘導した母親・父親マウスを交配し、妊娠・出産させ、仔マウスの食物アレルギーの誘導の程度を確認した。 その結果、食物アレルギーを誘導した親マウスから生まれた仔マウスでは、食物アレルギーの発症が抑制された。一方で、経口免疫寛容を誘導した親マウスから生まれた仔マウスでは、食物アレルギーが発症した。発症状況と相関して、OVA特異的IgE、IgG1の変動が認められた。現在、母子免疫における食物アレルギーの発症についての詳細な解析を行っている。
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