2011 Fiscal Year Annual Research Report
TGFβによる脂肪滴蓄積能の変化と治療薬開発に向けた新規制御因子の同定
Project/Area Number |
22790078
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 友香 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (40454326)
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Keywords | シグナル伝達 / 発現制御 |
Research Abstract |
運動不足や過剰や脂肪摂取といった現代の生活習慣は内臓脂肪の過剰な蓄積を引き起こし、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病を誘発する。内臓脂肪の蓄積は脂肪細胞の増大と肥大化により惹起される。申請者らは前年度までの研究において、抗炎症性サイトカインのTGFβ(transforming growth factor β)が、脂肪細胞に蓄積した大型脂肪滴および細胞内トリグリセリド量を減少させること、脂肪滴の形成および脂肪分解に重要な役割を果たす脂肪滴局在タンパク質(ペリリピン1)のmRNA発現量を著しく減少させることを明らかにしている。そこで、本年度はペリリピン1の発現制御について検討した。 ペリリピン1タンパク質の発現は、ペリリピンmRNAの発現と同様に、前駆白色脂肪細胞株を脂肪細胞へと分化誘導させることでその発現が認められ、TGFβ刺激により発現は減少した。ペリリピン1mRNAの発現には転写因子のPPARγが重要であることが知られている。そこで、PPARγに対するTGFβの影響について検討したところ、TGFβはPPARγの活性に影響を与えなかったが、PPARγの発現を抑制した。以上の結果からTGFβはPPARγの発現を減少させることでペリリピン1の発現を抑制し、脂肪滴を減少させるというメカニズムが存在する可能性が示唆された。また、TGFβによるPPARγmRNA発現の抑制には、TGFβシグナル伝達分子Smad3に依存した経路と依存しない経路があることが、Smad3ノックアウトマウス由来胎児繊維芽細胞(MEF)を用いた検討から明らかになった。
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Research Products
(3 results)