2011 Fiscal Year Annual Research Report
線虫腸細胞における環境ストレス感知応答機構の分子基盤の解析
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22790081
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
白石 博久 岩手医科大学, 薬学部, 講師 (80393156)
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Keywords | 細胞・組織 / 生体分子 / ストレス / 薬学 / 線虫 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「線虫C. elegansの腸細胞内に形成される非酸性大型顆粒の崩壊を指標にした、環境ストレスの感知応答機構における新規分子基盤の解明」にある。研究費交付初年度の昨年度は、飢餓ストレスに対する非酸性顆粒の挙動を解析し、この顆粒が、栄養状態に呼応して可逆的に形成・崩壊するオルガネラである可能性を見出した。また、非酸性顆粒のストレス応答に関与する遺伝子のスクリーニングに向けて、Feeding RNAiによるスクリーニングの条件を検討し、腸内顆粒の形成異常を引き起すポジティブコントロールの実験系を確立した事を報告した。 研究費交付2年目にあたる平成23年度においては、約12,000クローンに及ぶFeeding RNAiライブラリーのスクリーニングサイズに対応する為、腸内顆粒の有無を簡便かつ迅速に判断できる飼育・観察方法の検討を進めた。まず、腸内顆粒崩壊の有無を、顆粒膜上に局在するHAF-4::GFP由来の蛍光強度の変化を指標に蛍光実体顕微鏡下で視認できるかどうか調べた。しかしながら、顆粒崩壊前後で蛍光強度の明確な変化は観察されなかった。これは、顆粒が崩壊しても、その結果生じる網目状の細胞内膜構造にGFPの局在が残存しているためと考えられた。そこで、Feeding RNAiに用いる12-well plateでの飼育条件のまま、高倍率の明視野像で腸内顆粒を観察できるデジタルマイクロスコープ(キーエンス社)を検討した。いくつかの規格のレンズを用い、100倍-5000倍の倍率で腸内顆粒の有無の判定を試みた結果、100-1000倍の拡大倍率をカバーするレンズ(VH-Z100R)を用いて500倍で観察することにより、十分な焦点距離(25mm)を保ちつつ、迅速に腸内顆粒の有無を判定することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、本研究課題実施2年目にはスクリーニングを開始する予定であったが、スクリーニングの効率化を図る上で、明視野での顆粒崩壊の有無を再現性よく判定するための観察条件の設定た時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
約12,000の線虫遺伝子を網羅するC. elegans RNAi Feedingライブラリー(Open Biosystems社)を用いたスクリーニングを更に効率的に進めるにあたり、96-wellプレートを用いたfeeding RNAiおよび飢餓ストレスを引き起す至適条件と、腸内顆粒崩壊の判定方法について更に検討を重ねる。その上で、feeding RNAiと飢餓ストレス条件下における非酸性顆粒の崩壊系とを組み合わせ、遺伝子ノックダウンによって飢餓ストレスの感知・応答ができなくなるような候補遺伝子のスクリーニングを行う。
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