2010 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群モデルマウスの記憶学習障害における酸化ストレスおよび炎症反応の役割
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22790091
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
石原 慶一 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (80340446)
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Keywords | ダウン症候群 / 酸化ストレス / 炎症 / マウスモデル |
Research Abstract |
ダウン症候群は,通常2本の21番染色体が3本となることで発症する染色体異常症であり,発達障害や記憶学習障害といった症状を呈する。ダウン症モデルTs1Cjeマウスはダウン症の症状の一つである記憶学習障害を示すが,そのメカニズムは明らかでない。我々は,Ts1Cjeマウスの脳内において脂質過酸化が亢進していることを見出しており,これが本モデルマウスの記憶学習障害の基盤となっている可能性を考えている。そこで,本研究課題では,このTs1Cjeマウス脳での脂質過酸化亢進が炎症を惹起し,これが記憶学習障害を引き起こしている可能性を明らかにすることを目的としている。本年度は,Ts1Cjeマウスの脳における慢性的な炎症の亢進を明らかにする為に,炎症マーカータンパク質(シクロオキシゲナーゼ2)の発現について生化学的および組織学的な解析を行ったところ,本モデルマウスの海馬での発現上昇が認められ,この結果はTs1Cjeマウスの海馬での慢性的な炎症亢進を示唆するものである。また,本モデルマウスの抗酸化剤の投与によるダウン症記憶障害治療の検討を計画しているが,本年度は,Y字迷路において測定できる短期作業記憶について検討し,野生型マウスに比し,Ts1Cjeマウスにおいて障害が検出されることを明らかにした。これにより本モデルマウスが水迷路試験において検出される空間認識に対する記憶学習障害に加えて短期作業記憶も障害されていることが示唆された。現在,抗酸化剤投与および炎症を抑制したときの,これら記憶障害に対する改善効果について検討している。
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