2011 Fiscal Year Annual Research Report
長鎖脂肪酸:アミノ酸抱合経路によるインスリン抵抗性の制御
Project/Area Number |
22790097
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 崇志 兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (80423119)
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Keywords | インスリン抵抗性 / 脂質毒性 / 脂肪酸 / タウリン / アミノ酸 / タウリントランスポーター |
Research Abstract |
近年、脂肪酸タウリン抱合体が同定されたことから、タウリンの脂肪酸動態への関与が考えられるが、詳細な検討はなされていない。肥満や脂質代謝異常に伴う細胞内における脂質の蓄積は、脂質毒性に起因したインスリン抵抗性の発現や組織傷害につながることから、脂肪酸のアミノ酸抱合経路が細胞内の余剰な遊離脂肪酸の解毒機構として機能して、脂肪毒性に起因したインスリン抵抗性の制御に関わる可能性が考えられた。しかしながら、前年度までに、この仮説とは逆の結果が得られた。即ち、マウスを60%脂肪含有高脂肪食で飼育した結果、野生型においては耐糖異常、インスリン抵抗性がみられたが、タウリン欠乏マウスであるタウリントランスポーター欠損マウス(TauTKOマウス)では野生型に比べ改善されていた。このことから、今年度はさらに解析を進め、肝障害に関する検討を行った。その結果、肝障害マーカーである血清中AST、ALTは高脂肪食後の野生型では見られたものの、TauTKOマウスでは有意な改善が認められた。同様に、肝組織における脂肪蓄積の程度をOil red Oを用いた組織学的検討により評価した。その結果、TauTKOマウスに比べ野生型マウスでは脂肪の蓄積がより顕著であった。以上のことから、タウリン欠乏により脂質毒性が促進され、肥満に伴う疾患を増幅する、という実験計画当初の仮説は覆された。 一方で、本研究では、組織における脂肪酸タウリン抱合体の同定を目的として、LC-Orbitrap-MS分析によるメタボローム解析を行った。その結果、心臓サンプルにおいては、タウリンの顕著な現象が認められたものの、野生型からタウリン抱合体のピークは認められず、脂肪酸タウリン抱合体は検出されなかった。
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