2010 Fiscal Year Annual Research Report
タミフル固定担体を用いた生化学的手法による生体内におけるタミフルの作用点の探索
Project/Area Number |
22790098
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
越後 典子 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (80510130)
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Keywords | 薬学 / タンパク質 / プロテオーム / 脳・神経 / タミフル / オセルタミビル / 副作用 |
Research Abstract |
オセルタミビル(タミフル[○!R])は、インフルエンザA型およびB型ウイルスのノイラミニダーゼを阻害し、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する。タミフルは数少ないインフルエンザウイルス特効薬の一つであり、その社会的重要性は非常に高い。しかし近年、日本を中心として、タミフルを服用した若年の患者に異常行動が報告されており、若年選択的な副作用の可能性が指摘されるようになった。タミフルと異常行動の因果関係は今のところ明らかになっていないが、私たちはもしタミフルの服用と異常行動に因果関係があるのなら、脳にタミフルと結合するタンパク質が存在するはずであると考えた。そこで、タミフルを固定した担体を有機化学的に作製し、アフィニティクロマトグラフィーにより、生化学的および遺伝子工学的にタミフルと親和性のあるタンパク質を探索した。 生体内からタミフルと親和性のあるタンパク質を単離するために、2つの方法でアプローチした。1)まず、分画したマウスの大脳抽出液からアフィニティクロマトグラフィーによりタミフル結合タンパク質を単離した。その結果、タミフルに親和性のあるタンパク質を検出することができ、質量分析により数種類の候補タンパク質を同定した。2)また、発現量の少ないタンパク質を検出するため、ヒト脳cDNAライブラリーを用いたファージディスプレイ法を併用した。タミフル結合アッセイを数回繰り返し、タミフルと親和性のあるファージを増幅したところ、約200個のプラークを得ることができた。それらのファージの遺伝子配列をBLAST検索し、タミフルと親和性のあるタンパク質の候補を得た。今後はこれらの候補タンパク質の機能にタミフルが影響するかどうかを解析し、タミフルの安全使用につなげたいと考えている。
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