2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン・p53脱メチル化酵素複合体による転写制御機構解析
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22790101
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
梅原 崇史 独立行政法人理化学研究所, システム研究チーム, 上級研究員 (20415095)
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Keywords | ヒストン / クロマチン / 遺伝子発現 / 転写 / エピゲノム / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
本研究では、ヒストンおよび転写調節因子、エピゲノム修飾因子等の修飾・認識に関わるタンパク質複合体の構造・機能解析およびその解析技術開発を通して、真核生物のクロマチン転写制御機構を解析することを目的とした。タンパク質複合体の試験管内再構成については、多種類の遺伝子産物を大腸菌内で同時共発現させる新規のベクター系を構築することにより、p53の分解制御に関わる7成分の真核タンパク質複合体を再構成した。このシステムを用いて複合体成分を共発現させることにより、単独発現または不完全な構成成分の共発現では沈澱性のサブユニットについて、その可溶性を改善しうることを見出した。ヒストンH3やがん抑制因子p53等を脱メチル化するLSD1(Lysine-specific deme thylase-1)については、難治性癌等の発症と関連することが近年示されつつあるが、LSD1による基質・クロマチン認識機構はヒストンH3の脱メチル化リジンを含む数残基のペプチド領域以外の分子認識機構は不明である。本年度は、LSD1の脱メチル化酵素活性中心に結合する新規阻害剤群とLSD1との複合体結晶構造を明らかにすることにより、LSD1が転写抑制に働くための基質の脱メチル化反応の阻害機構を明らかにした。これらのタンパク質複合体の結晶構造解析に際しては、安定な複合体成分の取得・結晶化が困難な場合があるが、本年度は、相互作用するタンパク質複合体間のサブユニットに光反応性アミノ酸の1種であるpBpa(para-benzoyl-L-phenylalanine)を導入し、複合体中のタンパク質分子群を光架橋することにより、複合体の結晶構造を解明する手法を開発した。
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Research Products
(8 results)