2010 Fiscal Year Annual Research Report
動的高次機能タンパク質Hsp90を分子標的とする論理的かつ効率的抗癌剤開発研究
Project/Area Number |
22790105
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村中 一大 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (20570518)
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Keywords | Hsp90 / heat shock protein 90 / 抗癌剤 / カルボキサミド保護基 / 創薬化学 |
Research Abstract |
本研究では、抗癌剤開発の新たな分子標的として期待される分子シャペロンHsp90を標的とした論理的かつ効率的な抗癌剤開発方法論の確立を目指して、高活性天然物の三次元構造を論理的に模倣・単純化するというFOS(Function-Oriented Synthesis)の概念に基づいた小分子Hsp90阻害剤の開発を行うことにした。設計した小分子FOS化合物群としては、構造的にrigidなラクタム構造を土台として、生理活性天然物が有するHsp90との結合に重要と考えられる官能基を配置することにした。本年度は、Hsp90の天然基質であるATPのFOSとして、ビシクロラクタム糖部を有するアデノシン誘導体の合成を検討した。鍵となるラクタム環の構築は、申請者が開発した、酸性条件や酸化的条件のみならず塩基性条件で除去可能な新規N-ベンジル型保護基4-(tert-butyldimethylsiloxy)-2-methoxybenzyl (SiMB)基をアミドC-N結合周りの回転を促進させる環化補助保護基として用いた、閉環メタセシス反応(RCM)で達成することができた。現在、各種官能基を導入した誘導体合成を検討しており、今後生物活性評価を行う予定である。また、今後の化合物合成の迅速化を目指してSiMB基を固相担持リンカーとして利用することを計画しており、本年度はSiMB基除去条件や他の重要保護基存在下での選択的除去などの詳細な検討を行った。その際、SiMB基4位の水酸基の保護基を電子求引性のアシル基に変換すると、酸性・酸化条件に対して耐久性を示すことを見出し、SiMB基の基質適用範囲を拡大することができたと言える。
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Research Products
(1 results)