2011 Fiscal Year Annual Research Report
siRNA医薬品の創製を指向した新規オリゴ核酸修飾法の開発
Project/Area Number |
22790107
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
喜多村 徳昭 岐阜大学, 工学部, 助教 (10503659)
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Keywords | 核酸医薬 / siRNA / オリゴ核酸修飾 |
Research Abstract |
近年、疾病治療の目的として、DNAやRNAなどのオリゴ核酸をヒトの体内に投与する「核酸医薬」が期待されている。しかし、オリゴ核酸は一般に水溶性であるため、医薬品として血中に投与した場合、単独では細胞膜透過性が低く、また酵素によって容易に分解されるため、十分な治療効果が得られないのが現状である。研究代表者は最近、同研究室の上野准教授らとともにsiRNA(相補的な配列を含む標的RNAの遺伝子発現を抑制する20塩基程度の二本鎖RNA)の3'末端2塩基突出部分の糖部あるいは糖-塩基部を芳香族化合物に置換すると、分解酵素に対する耐性が向上することを見出した。そこで本研究では、疎水性の増大による細胞膜透過性の改善を目指し、芳香族化合物の3'末端水酸基を欠損させたsiRNAの合成に着手した。また、3'末端2塩基のヌクレオシド塩基部を欠損させることにより、分解酵素耐性の獲得や塩基部の意義解明に繋がると考えられたことから、該当する塩基部を欠損させたsiRNAの合成も行った。 従来の固相合成法では3'末端水酸基の除去は困難であることから、目的のsiRNAを合成するにあたり、新規修飾法を開発する必要があった。平成22年度、目的のsiRNAを合成する上で鍵となる末端にスルホン酸エステルを連結した担体を開発し、対応するオリゴ核酸を合成することに成功した。そこで、目的の3'末端水酸基欠損オリゴ核酸合成を目指し、脱スルホン酸化を伴う置換基の導入を検討した。現在も鋭意検討中である。 3'末端塩基部を欠損させたsiRNAの合成にあたり、塩基部欠損型ヌクレオシドを連結した担体ならびに対応するホスホロアミダイトの合成を行った。本研究では、効率的な塩基部欠損型ヌクレオシド合成法を開発し、目的の塩基部欠損型siRNAの合成に成功した。本siRNAは予想通り酵素耐性を有しており、また興味深いことに天然型siRNAや芳香族化合物置換型siRNAと比較して優れた遺伝子発現抑制効果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で検討している脱スルホン酸化を伴った3'末端水酸基欠損オリゴ核酸合成は、申請者の知る限り世界で初の試みである。オリゴ核酸、特にRNAは、安定性に乏しく、液性や温度など使用可能な反応条件が非常に限られているため、想定した化学変換が困難な場合には再度新規担体を設計し、合成し直す必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
目的の3'末端水酸基欠損オリゴ核酸合成を目指し、引き続き脱スルホン酸化を伴う置換基の導入を検討する。達成が困難な場合には、新規担体を設計する。塩基部欠損型ヌクレオシドアナログを導入したsiRNAが天然型siRNAや芳香族化合物置換型siRNAと比較して優れた遺伝子発現抑制効果を示したことから、塩基部欠損型ヌクレオシドを基盤としたオリゴ核酸の新規化学修飾に向けても検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)