2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝細胞移植マウスを利用したヒトにおける医薬品代謝物の生成予測
Project/Area Number |
22790109
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐能 正剛 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00552267)
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Keywords | ヒト肝細胞移植キメラマウス / 肝細胞 / 薬物代謝酵素 / 代謝物予測 |
Research Abstract |
医薬品開発における臨床試験の中で、安全性、薬効や体内動態が原因で開発が中止になるケースは多い。創薬段階において、ヒト体内動態を予測できれば、良好な動態を有する医薬品の創出に留まらず、安全性や薬効の予測につながる可能性もあり、その評価法の構築が求められている。 肝障害と免疫不全の性質を有するuPA/SCID miceにヒト肝細胞を移植した「ヒト肝細胞移植マウス」は、その肝臓にヒト型の薬物代謝酵素の発現、活性を有することが報告されており、ヒトの薬物代謝、動態を示す「ヒト型肝臓モデルマウス」として期待されている。ヒト肝細胞移植キメラマウスの肝臓は、平均80%の割合でヒト肝細胞に置換されている。 本年度は、肝臓におけるチトクロームP450(CYP)、グルクロン酸抱合転移酵素(UGT)、硫酸抱合転移酵素(SULT)やアルデヒドオキシダーゼ(AO)で代謝され、幅広いクリアランスや消失半減期を示す13個の医薬品を検証化合物として取り上げ、ヒト肝細胞移植マウスを用い、ヒト血中動態の予測性について肝クリアランス、消失半減期を指標に検討した。特に、AOで代謝される医薬品は、実験動物とヒトにおいて体内動態に顕著な種差が見られることが多く、その予測は難しい。そこで、臨床試験において低い血中動態を示したことにより開発が中止になったAOで代謝される化合物を取り上げ、ヒト肝細胞移植マウスを用いた予測法の検証を行った。 結果、CYP、UGT、SULTやAOで代謝される13の検証化合物において、ヒト肝細胞移植マウスに投与後の肝クリアランスや消失半減期は、実際のヒトにおける値と高い相関関係が認められた。このことから、本マウスは、肝クリアランスや消失半減期の化合物間の大小関係を比較できる定量的予測に有用であることが示唆された。また、ヒト肝細胞移植マウスの肝臓は高いAO活性を有することも確認でき、ヒト予測が難しいとされるAOで代謝される医薬品の体内動態予測にも有用であることを示すことができた。
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