2010 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性因子AGFによる生体システム制御の分子機構解明
Project/Area Number |
22790111
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮田 敬士 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (50398228)
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Keywords | 生理活性 / メタボリックシンドローム / アンジオポエチン様因子 |
Research Abstract |
本研究では、エネルギー代謝亢進作用を有する生理活性因子AGFに関して、1)中枢神経系の作用機構、2)末梢組織への作用機構、3)AGF受容体探索・同定に焦点し、研究を行った。1)に関しては、AGFとレプチンの関連を調べるために、AGF Tgマウスと野生型に高脂肪食負荷による肥満モデルを作製し、レプチン投与を行ったところ、AGF Tgマウスでは、摂食量、体重変化を認め、AGFの作用によりレプチン抵抗性の改善が示唆された。また、2)に関しては、AGFの血管新生作用は、MAPK-eNOS経路を介して作用することが明らかとなっているが(Urano et al. ATVB 2008)、血管新生を介さない本来のAGFの代謝機構を解明するため、AGF Tg ; eNOS KOマウスを用いて、骨格筋組織での解析を行った。Tgマウスは野生型に比べ、エネルギー代謝に関する分子の発現量増加を認め、AMPKのリン酸化およびミトコンドリアの増加を認めた。これらのマウスは抗肥満を示すことから、AGFは血管新生作用とは独立して骨格筋組織に作用し、エネルギー代謝亢進を認めることがわかった(投稿準備中)。また、3)のAGF受容体の探索・同定に関しては解析中であり、同定まで至らなかった。本研究によりAGFは、レプチン感受性に関与し、また血管新生を介さずに代謝制御の機能を有する分子であることがわかった。これらの成果は、エネルギー代謝の病態解明研究につながり、さらにはこれらの経路が、肥満、糖尿病への治療標的になり得る可能性が示唆される。
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Research Products
(4 results)