2011 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性因子AGFによる生体システム制御の分子機構解明
Project/Area Number |
22790111
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮田 敬士 熊本大学, 生命科学研究部, 特任准教授 (50398228)
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Keywords | 生理活性 / メタボリックシンドローム / アンジオポエチン様因子 |
Research Abstract |
生理活性因子AGFはこれまでの研究から血管新生作用だけでなく、エネルギー代謝亢進作用が明らかになっている。近年我々はAGFの血管新生作用がMAPK-eNOS経路を介することを明らかにし、血管新生作用を介さない本来のAGFの代謝機構を解明するため、AOFTg;eNOSKOマウスを作製し、骨格筋組織でのAGFの機能解析を行った。AOFTg;eNOSKOは野生型に比べ、エネルギー代謝に関する分子の発現量の増加を認め、AMPKリン酸化及びミトコンドリアの増加を認めた。AOFTg;eNOSKOは酸素消費量増加および抗肥満を示すことから、AGFは骨格筋組織において血管新生作用とは独立してエネルギー代謝亢進作用を認めることが明らかになった。またAGFFTgの骨格筋組織では運動耐容に関するPPARδ、PGC-1αの発現上昇を認めることより、AGFFTgマウス(12および24週齢)を用いて運動能に関わる影響を検討した。強制運動負荷における.AGFFTgの運動耐容能は、同週齢の野生型と比べ、走行時間及び走行距離の有意な延長を認めた。また、骨格筋のヒラメ筋、大腿四頭筋の筋線維の検討ついては、野生型と比べMHC-I,MHC-IIbの発現に有意な変化を認めなかった。さらに.AGFFTgは野生型に比べ高体温を認めており、寒冷刺激負荷にて体温変化を検討した。AGFFTgは野生型に比べ2および4時間後の体温低下の抑制を認めた。また、AGFFTgの褐色脂肪組織では、野生型に比べ熱産生に関する遺伝子だけでなく、ミトコンドリア生合成に関する遺伝子の有意な発現上昇を認めた。以上より、AGFはエネルギー代謝亢進だけでなく、運動耐容能の向上、低体温抑制と有益な効果をもたらす分子である可能性が示唆され、今後の肥満、糖尿病の新たな治療だけでなく、運動耐容低下の改善や低体温症などへの治療の応用が期待される。
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Research Products
(13 results)