2010 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析法を用いた細胞内ニトロキシルの高感度検出法の開発
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22790112
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津元 裕樹 京都大学, 薬学研究科, 特定助教 (00409385)
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Keywords | 生物活性物質 / ニトロキシル / 質量分析 |
Research Abstract |
本研究は近年注目されつつある活性窒素種の一つであるニトロキシル(分子式:HNO)を、質量分析法を用いて特異的かつ高感度に検出するために必要な"HNO特異的高感度検出プローブ"の開発を行うことである。平成22年度は塩基性あるいは蛍光性を有するチオール(R-SH)4種類を合成した。また、細胞内移行性が向上することを期待し、ジスルフィド(R-SS-R)4種類を合成した。これらの中で高い水溶性を有するチオールを用い、HNO放出化合物との反応条件検討などを行った。まず、ESI-MSを用いて反応生成物を解析した結果、チオールとHNOの反応生成物であるスルフィンアミド(R-SONH2)に相当するシグナルを確認することができた。しかしながら、副生成物であるジスルフィドに相当するシグナルも同時に検出されることがわかった。次に、これらのシグナルに対してLC-ESI-MS/MSで定量するためのMRM法および前処理法を確立した。確立した方法を用いることにより、細胞培養液を反応溶媒として用いた場合でも反応生成物を検出できることが分かった。そこで、平成23年度は培養細胞に化合物を投与し、HNOとの反応生成物を検出できるかを前処理も含めて検討していく予定である。その場合、化合物の細胞内局在を確認する必要があるため水溶性を有する蛍光化合物の開発も同時に進めていく。また、副生成物であるジスルフィドが生成しないような化合物の設計および合成も引き続き行う。
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