2011 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖の分子置換による新規抗ウイルス薬の設計手法の開発
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22790115
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松原 輝彦 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (10325251)
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Keywords | 感染症 / インフルエンザ / 感染阻害剤 / ペプチド / ライブラリー / ヘマグルチニン / ファージ / 親和性選択 |
Research Abstract |
H22年度まではインフルエンザウイルスのヘマグルチニン(HA)結合ペプチドを化学修飾し、季節性ウイルスである弱毒性H1型およびH3型ウイルスに効果があることを示してきた。しかし近年、高い致死性の強毒性H5型ウイルスの流行が危惧されている。そこでH23年度はH5型HAに対するペプチドの結合評価の方法を検討し、既存のHA結合性ペプチドとの相互作用評価を行った。 H5型HAはサンプル入手が困難であるため、少量のHAでも相互作用解析が行える表面プラズモン共鳴法での実験系を構築した。HA結合性ペプチドは、H1型およびH3型ウイルスに効果のある15残基のD1配列を化学合成した。D1ペプチドもしくはH5のいずれかを表面プラズモン共鳴装置のセンサーチップに固定化し、もう片方の分子を流路系に流すことで条件検討を行った。その結果、HAをチップに固定化し、ビオチン化ペプチドとアビジンとの複合体を添加する手法が最も確実に相互作用解析を行うことが可能であった。 決定された固定化の条件を用いて、H1,H3およびH5型HAをそれぞれ固定化し、D1および2つのD1変異体のビオチン化ペプチドとの相互作用解析を行った。その結果、D1配列のHAへの結合は濃度依存的に増加し、Langmuirプロット解析で得られた解離定数の値はどのHAでも数十μMの値を示した。D1変異体も解離定数はHAが異なってもほぼ同じ値を示した。これらの結合親和性の順序は、ファージELISAでの結合活性の順序に対応していた。ファージ上でも合成ペプチドでもD1配列および変異体は異なる亜型に対しても近い結合親和性を持っていたことから、設計通り糖鎖受容体のリガンドを模倣していることが示された。
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