2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22790116
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
伊藤 俊将 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (80536110)
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Keywords | PPARgamma / X-線結晶構造解析 / 酸化型脂肪酸 / 超長鎖脂肪酸 / ESI-質量分析 |
Research Abstract |
当該年度の実績は主に次の実験によるものである。 具体的内容前年度合成に成功した各種oxo型脂肪酸の共役付加反応の速さを比較した。PPAR_Yタンパク質と脂肪酸の共有結合反応であるので、通常の低分子用の実験手法や高分子用の実験手法には簡便と言える手段は無かった、そこで新たにESI-質量分析を用いる方法を考案した。共有結合する脂肪酸の分子量の違いを検出し、質量ピークの面積比を比較することで、共有結合の速さを比較することに成功した。その結果、oxo-グループの位置が反応速度に影響を与えているということがわかった。カルボン酸からoxo基までのメチレン数が2つ、3つ、4つと増えるごとに反応性が増すことが明らかになった。さらに脂肪酸の尾部はomega-9よりもomega-3の方が、反応性に優れているということが明らかになった。これは脂肪酸尾部がリジッドな場合、疎水性ポケットに相互作用し、脂肪酸のoff rateが下がったため、すなわち脂肪酸がリガンド結合部位に留まる時間が長くなることで反応が進行しやすくなったと考察した。 意義・重要性PPAR_Yは生体内でリピッドセンサーとして働いていると考えられている。どのような脂肪酸がより、PPAR_Yを活性化するかを知ることはメタボリックシンドロームの解明、新薬開発の手助けとなる。今回の知見から、高度不飽和長鎖脂肪酸を摂取することが、生体内でPPAR_Yを恒常的に活性化しメタボリックシンドローム予防に貢献するという可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規解析手法を解析し、PPAR_Yと脂肪酸の関係に関して、相互作用をしやすい脂肪酸の必要条件を3つ解明することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、順調に進んでいるが、当初予定していたco-factorとの関連性よりも、Ser245のリン酸化がPPAR_Yのインスリン抵抗性に重要な役割を果たしていると研究結果がアメリカのグループによってまとめられた。そのため「特定の脂肪酸がどのような相互作用でPPAR_Yのリン酸化を防ぎインスリン抵抗性改善作用をもたらしているか」について優先的に検討することとした。
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