2011 Fiscal Year Annual Research Report
スプライシング阻害化合物GEX1Aの作用メカニズムの解明
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22790117
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
長谷川 慎 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (10367899)
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Keywords | スプライシング / 抗癌剤 / 翻訳語修飾 / 薬剤反応性 / 蛋白質 |
Research Abstract |
GEX1Aは、放線菌の代謝物から単離同定された抗腫瘍活性を持つ低分子化合物である。GEX1Aの特徴的な生理作用として、スプライシング反応阻害と細胞周期の停止が挙げられる。スプライシング反応阻害剤としてspliceostatin Aおよびpladienolideがすでに報告されているが、GEX1Aの作用メカニズムの違いはわかっていない。そこでまずGEX1Aの標的タンパク質を探索するために、GEX1Aのビオチン付加体に光反応基を導入した誘導体を作成し、光親和性標識試薬を作成した。その結果、標的タンパク質はSAP155であることを明らかにした。SAP155は、イントロンを除去するスプライソソーム構成要素のU2snRNPに含まれるタンパク質である。スプライシング反応の進行には、キナーゼであるCdk2とホスファターゼであるPP1によるSAP155の可逆的なリン酸化制御が必須であることが報告されている。そこで、GEXIAを添加することによるスプライシング反応阻害とSAP155のリン酸化制御の関連を調べた。 SAP155のリン酸化部位を特異的に認識する抗体で確認したところ、GEX1A添加時にSAP155のリン酸レベルが低下することを見出した。SAP155をリン酸化する酵素としてはCdk1およびCdk2が考えられる。Cdk2に関しては、spliceostatin Aと同様にGEX1AにおいてもCdk2阻害因子p27のC末端欠損型の蓄積を促し、これによりCdk2キナーゼ活性が低下し、細胞周期をG1期及びG2/M期に停止させる一因となっていること那確認された。一方、Cdk1についても検討したところ、GEX1Aの経時的な作用によりCdk1の不活性化が示唆される結果が得られた。これらの結果と既知の報告から、GEX1Aの作用とCdk1およびCdk2のキナーゼ活性の関係を考察した。
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Research Products
(2 results)