2011 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβペプチドの病態機構解明と凝集阻害剤の創製
Project/Area Number |
22790118
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相馬 洋平 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特任研究員 (10565518)
|
Keywords | アルツハイマー病 / アミロイド / イソペプチド / 凝集 / 阻害剤 / ペプチド |
Research Abstract |
本申請研究は、化学的アプローチにより、今まで不明であったAβの毒性発現機構に関する新しい知見を得るとともに、アミロイドβペプチド(Aβ)の凝集に対する阻害剤を創出することによりアルツハイマー病の新しい治療薬概念や医薬品候補化合物を世に出すことを目標としている。本年度は、(1)極端に水溶性の低いピログルタミン酸含有Aβ11-42において、O-アシルイソペプチドを利用することにより、水溶性を実験可能な水準にまで押し上げることにより、種々の生化学的実験を行うことができた。例えば、チオフラビンT蛍光アッセイによるアミロイド線維量評価では、pyroGlu-Aβ11-42の蛍光強度はAβ1-42より低く、pyroGlu-Aβ11-42が形成する繊維はAβ1-42よりも微細であることが示唆された。原子間力顕微鏡の結果からも同様の結論が支持された。また、pyroGlu-Aβ11-42の毒性はAβ142と比べやや低い傾向であった。尚、Aβ11-42との比較から、N末端のピログルタミン酸は毒性の発現に必須ではないことが明らかとなった。これら一連の結果は、Aβの凝集機構解明に有用な知見を与えるものと期待される。(2)AβのGly^<25>-Ser^<26>配列をコアとした一連のペプチド誘導体を、ペプチド固相合成法により調製し、得られたペプチドをO-アシルイソペプチドを利用した原子間力顕微鏡に供した。O-アシルイソペプチド自身が凝集性を持たないことから、Gly^<25>-Ser^<26>間のアミド結合がAβの凝集において重要な役割を果たしていると仮定し、Gly^<25>-Ser^<26>領域を修飾したAβの新規凝集調整分子に焦点を当て構造-活性相関を行った。結果、長鎖ペプチド性分子ではあるものの、Aβの繊維形成を有意に阻害することのできる分子を発見した。
|
Research Products
(2 results)