2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規BACE1阻害剤の開発:低分子量化へのアプローチ
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22790119
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
柿澤 多惠子 京都府立医科大学, 医学研究科, 研究員 (60445963)
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Keywords | アルツハイマー病 / BACE1阻害剤 |
Research Abstract |
高齢化社会を迎える我が国では、加齢に伴ってその発症率が増加するアルツハイマー病の患者数増加が懸念されている。アルツハイマー病患者の脳では、Aβ(アミロイドβペプチド)などから構成されるアミロイドプラークの沈着が認められ、アルツハイマー病発症の基盤と考えられるようになった。従って、Aβの産生に関与する酵素であるBACE1の阻害剤を開発することは、アルツハイマー病の予防・治療に向けて大変重要であると考えられる。そこで本研究では、低分子量で高活性なBACE1阻害剤を開発することを目的として研究を行なった。アスパルティックプロテアーゼ阻害研究において確立された基質遷移状態概念に基づき、BACE1阻害剤の構造最適化を行なって阻害活性の向上を図ると同時に、薬剤の実用化に必要であると考えられる阻害剤の低分子量化を目指して実験を行なった。その結果、テトラペプチド型BACE1阻害剤であるKMI-927などの開発に成功した。従来のペプチド型KMI化合物は主にアミノ酸5残基以上から構成されており、更なる構成アミノ酸数の減少が望まれた。本研究では、ペプチド型のBACE1阻害剤において阻害活性の向上に比較的弱い影響を持つprime sideのアミノ酸残基を減らすと同時に構造最適化を行ない、低分子量で比較的高活性なKMI-927等の一連のテトラペプチド型阻害剤開発へと研究を発展させた。また、ペプチド型の阻害剤は基質のアミノ酸配列に基づいて設計されることが一般的であることから、各部位の最適構造の簡便なスクリーニング方法として基質ライブラリを用いたBACE1アッセイを採用し、基質切断部位近傍に適合するアミノ酸を特定したため、今後の更なる薬剤設計に役立てる予定である。
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Research Products
(8 results)