2010 Fiscal Year Annual Research Report
オーダーN法第一原理計算手法を導入したタンパク質機能制御分子最適化手法の基盤構築
Project/Area Number |
22790122
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大塚 教雄 独立行政法人理化学研究所, 計算分子設計研究グループ, 研究員 (30465968)
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Keywords | 第一原理計算 / 密度汎関数法 / オーダーN法 / 分子間相互作用 / インシリコ創薬 / フラグメント分子軌道法 |
Research Abstract |
本研究では、我々が開発して来たオーダーN法第一原理計算手法と大規模分子系量子化学計算手法を、タンパク質-タンパク質機能制御分子(数千から数万原子)の複合体系に適用し、この系における分子間相互作用、環境効果等を明らかにし、新奇なタンパク質機能制御分子のデザイン指針と提案を行うことを目標とする。また研究の過程で、生体系に対する第一原理計算に基づく研究を行うために必要な理論手法を明らかにし、インシリコ創薬スクリーニングにおける化合物最適化手法の実効利用を高める技術基盤の構築を行う。 今年度は、基盤構築の礎となる大規模系電子状態計算手法(オーダーN法第一原理計算(CONQUEST)、フラグメント分子軌道(FMO)法))のタンパク質-機能制御分子複合体系における相互作用エネルギー算出の性能評価を行った。実験による結合親和エネルギーが報告されているFKBP(FK506-binding protein)とその機能制御分子(10分子)系(約1700原子)を用いた。X線結晶解析の構造を基に分子動力学計算によって得られた構造を初期構造として、(1)CONQUEST計算、(2)FMO計算による分子間相互作用エネルギーを見積もった。 (1)では、PBE汎関数とDZP基底を用いることで、実験値との相関係数(0.71)が得られた。また1ショット計算によるvan der Waals相互作用を考慮(vdW-DF法)する事で相関係数が向上(0.83)する事が分かった。 (2)FMO計算では、フラグメント分割法、基底関数依存、電子相関計算に関して詳細な条件検討を行った。制御分子のフラグメント化に関しては幾通りかの分割モデルに対し誤差評価を行う必要がある事が分かった。現時点では、FMO2-MP2/6-31G(d)の計算レベルを用いる事で実験値との相関係数(0.77)が得られる事が分かった。 一方、次年度の理論計算による検討事項として、(1)は構造緩和の効果、(2)はFMOの3体効果と溶媒効果の検討に関するテスト計算を行った。
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