2012 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞に対して選択的にマクロファージ誘導作用を持つ新規がん治療薬の開発
Project/Area Number |
22790126
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
大野 彰子 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 主任研究官 (70356236)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 医薬品化学 / 新規抗がん剤 / ガドリニウム / フォスファチジルセリン / MRI |
Research Abstract |
本研究はがん細胞に対して選択的にマクロファージ誘導作用とMRI造影剤としての作用を有する新規がん治療薬の開発を目的とする.具体的には,アポトーシス誘導時に現れる‘eat me signal’として知られているフォスファチジルセリン (PS) に腫瘍細胞集積性を示すMRI造影剤のGd-DTPA錯体を付加させた化合物(PS-Gd誘導体)を創製する.これまで,PS構造とGd配位子の候補となる構造を数種類組み合わせることで PS-Gd誘導体を設計し,それぞれについて分子軌道法などの化学計算を実行し誘導体の電荷密度の予測化と配座解析を行った.また,昨年度は候補化合物について合成経路の検討を試み,ホスファチジルセリン誘導体の合成ルートを確立した,今年度は,本方法を利用して構造最適化した化合物の合成を試みた.脱水型のジエチレントリアミン五酢酸にアミノアルキルアルコールを2分子反応させてアルキル側鎖を伸ばした後,未反応のカルボン酸をベンジルエステルへと変換した.さらに末端の水酸基に側鎖の水酸基がリン酸tert-ブチルアミダイト誘導体であるN-Boc セリン誘導体を塩基触媒を用いて結合させた.TBHPで酸化してリンをリン酸エステルへと変換後,接触還元で脱ベンジル,TFAで脱Bocを行い,さらにGdCl2を配位させて目的化合物を合成した. 本化合物はGd-DTPA構造による腫瘍組織への集積と可視化,およびホスファチジルセリン構造による腫瘍細胞へのマクロファージの誘導と貪食作用が期待される.従って,今後,生物学的な評価を行い,その効果を明らかにすることで,従来の抗がん剤とは異なる機構による抗がん作用とMRIによる治療効果の可視化が可能な,全く新しい抗がん剤が開発できる.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(12 results)