2011 Fiscal Year Annual Research Report
食品汚染物質3-MCPDおよびグリシドールの免疫応答への影響
Project/Area Number |
22790135
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
八巻 耕也 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (00351768)
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Keywords | 3-MCPD / グリシドール / 食品汚染物質 / 免疫 |
Research Abstract |
食品汚染物質である3-MCPDおよびグリシドールの免疫応答に与える影響について解析するために、前年度は、単回投与において麻酔様作用、毒性などの影響が認められない濃度である0.3%以下の3-MCPDを抗原とともに単回投与することにより、3-MCPDのアジュバント作用について検討した。その結果、用いた0.3%以下の濃度の3-MCPDは単回投与ではアジュバント作用を示さないことを明らかにした。そこで本年度は、3-MCPD週5日投与のアジュバント作用について検討した。週5日投与では0.3%3-MCPDが致死的な毒性を示したため、0.1% 3-MCPDを用いて解析したところ、週5日投与によっても3-MCPDは、抗原投与21日後の血清中の抗卵白アルブミンIgG1レベルには影響を与えなかったことから、アジュバント作用を示さないことが明らかとなった。また、0.1から0.3%グリシドールの単回投与について同様の検討を行なったところ、麻酔様作用、毒性、アジュバント作用とも認められなかった。 さらに、免疫応答と関連が深い肥満細胞の脱顆粒反応に対する3-MCPDの影響についても解析した。その結果、0.3%以上の濃度の3-MCPDは肥満細胞の脱顆粒反応を抑制した。 これらのことから0.3%以上の高濃度の3-MCPDや、その類縁化合物であるグリシドールの生体への曝露は生体機能に影響を及ぼす可能性が示唆された。0.3%という濃度は一般的な3-MCPDやグリシドールの曝露レベルより低いため、通常生じうるこれらの食品汚染物質の曝露がヒトの免疫系に影響を与えることはないと推定されるが、食品に事故的な高濃度汚染が生じ、それを摂食した場合には、免疫応答が何らかの影響を受ける可能性が考えられた。
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