2010 Fiscal Year Annual Research Report
亜ヒ酸製剤とレチノイン酸の併用療法への適用を目指した研究
Project/Area Number |
22790137
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
角 大悟 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (30400683)
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Keywords | ヒ素化合物 / 白血病 / レチノイン酸 / 水チャネル / 細胞内取込 |
Research Abstract |
亜ヒ酸(ATO)は、再発・難治性急性前骨髄球性白血病(APL)においてのみ使用認可されている薬剤である。APLの第一選択薬であるallトランス-レチノイン酸(ATRA)は高い寛解率を示す一方、耐性を生じやすいことが知られており、他剤との併用が望まれる。そこで本年度は、白血病治療におけるATOとATRAの併用療法の有効性について基礎的な知見を得るために、培養ヒト白血病細胞(HL-60)の分化を指標に検討を行った。HL-60細胞にATRAを3日間、10^<-8>、10^<-7>、10^<-6>mol/Lの濃度を添加したところ、濃度依存的にnitro blue tetrazolium(NBT)の還元作用が検出された。また、ATO単独(0.25, 0.5μmol/L)では有意なNBTの還元作用は示さなかった。このような状況下で、ATOとATRAを共添加したところ、ATRAの各濃度で検出されたNBTの還元作用をATOは有意に上昇させた。これらのことから、ATOの単独添加ではHL-60細胞の分化を誘導することはないが、ATOはATRAによる分化誘導作用を増強させることが明らかとなった。つぎに我々は、ATOがATRAによる分化誘導作用を増強したのは、ATOのHL-60細胞内への取り込みがATRAにより促進されたのではないかと考え、ATOの細胞内取込に関与するAQP9のmRNAとタンパク質発現について検討した。その結果、ATRAの濃度依存的にHL-60細胞のAQP9の発現が誘導された。これらの結果より、1.ATRA非存在下ではATOがHL-60細胞内に取り込まれにくく、そのことで分化誘導作用が観察されなかった、2.ATRAによりAQP9の発現が上昇することで、ATOの取り込み促進を介し、分化誘導作用が増強されたことが示唆された。
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[Journal Article] 1,2-Naphthoquinone suppresses lipopolysaccharide-dependent activation of IKKbeta/NF-kappaB/NO signaling : an alternative mechanism for the disturbance of inducible NO synthase-catalyzed NO formation.2010
Author(s)
Sumi, D., Akimori, M., Inoue, K., Takano, H., Kumagai, Y
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Journal Title
Journal of Toxicological Sciences
Volume: 35
Pages: 891-898
Peer Reviewed
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