2010 Fiscal Year Annual Research Report
日和見感染菌におけるシデロフォアの病原学的意義とその作用機構に関する研究
Project/Area Number |
22790140
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
舟橋 達也 松山大学, 薬学部, 准教授 (60343646)
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Keywords | シデロフォア / 鉄 |
Research Abstract |
Acinetobacter baumanniiは抗生物質多剤耐性化が問題となっている日和見感染菌の一つである。本菌の生存、増殖にも鉄(イオン)は必須であり、鉄欠乏ストレスに応答してシデロフォア(三価鉄輸送キレーター)を産生する。本菌臨床分離株の解析から数種類のシデロフォアを産生していることが明らかとなり、多様な鉄獲得機構の存在が推定された。本研究では感染成立の過程、特に宿主細胞への本菌の定着や増殖段階におけるシデロフォアの役割とその分子機構を解析し、本菌感染症におけるシデロフォアの病原学的意義の解明を目的とする。今年度はA. baumannii臨床分離株が産生するシデロフォアの構造決定を目的として以下の検討を行った。慢性腎炎患者より単離されたA. baumannii臨床分離株H277-I-aを鉄欠乏条件下培養し、培養上清中のシデロフォアについて各種呈色反応を行った。Csaky assayは陽性であったが、Arnow assayは陰性でありcatechol構造を持たないhydroxamate構造を持つシデロフォアの存在が示唆された。本シデロフォアの構造を決定するために、その単離を試みた。0.15μM塩化鉄を含む合成培地で37℃、36時間培養し、培養液4Lから遠心分離で培養上清を得た。培養上清をpH6.8に調整後Dowex1x8を加え、撹拌後、樹脂を3Mギ酸に浸し、再ろ過液を水洗液と合わせて減圧下、60℃で濃縮乾固した。得られた残渣を水に溶解し、BioGel P-10カラムで分離した。5mM過塩素酸溶液で呈色する画分を集めて濃縮乾固した。このフラクションはsilica gel 60 TLCで塩化鉄溶液で呈色する2つのバンドを生じた。またHPLC分析により2つの活性フラクションに分割できた。精製純度を上げるために、分画方法についてさらに条件検討を行っている。
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Research Products
(1 results)