2011 Fiscal Year Annual Research Report
日和見感染菌におけるシデロフォアの病原学的意義とその作用機構に関する研究
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22790140
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
舟橋 達也 松山大学, 薬学部, 准教授 (60343646)
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Keywords | 鉄 / シデロフォア / acinetoferrin |
Research Abstract |
Acinetobacterbaumanniiに代表されるAcinetobacter属菌は抗生物質多剤耐性化が問題となっている日和見感染菌の一つである。本菌の生存、増殖にも鉄(イオン)は必須であり、鉄欠乏ストレスに応答して三価鉄キレート分子であるシデロフォアを産生する。本研究ではAcinetobacter属菌などの日和見感染菌による感染成立の過程で細菌の定着や増殖段階におけるシデロフォアの役割とその分子機構を解析し、日和見感染症におけるシデロフォアの病原学的意義の解明を目的とする。Aclnetobacter属菌のうちA.haemolyticusATcc17906は鉄欠乏条件に応答してシデロフォアacinetoferrinを産生する。本菌よりacinetoferrinの生合成及び輸送に関与すると推測された約13.1kbpの遺伝子領域をクローニングし、全塩基配列を決定した。相同性検索の結果、acinetoferrinと構造が類似したrhizobactin1021の生合成酵素や外膜受容体と相同性を示した。85kDaの鉄制御外膜タンパク質のN末端アミノ酸配列はactA遺伝子から推測されるアミノ酸配列10残基と完全に一致し、actA変異株の解析からActAがferricacinetoferrinに対する受容体として機能していることを明らかにした。また、AcbAはrhizobactin1021の生合成酵素RhbCと相同性を示し、acbA変異株の鉄欠乏条件下での培養上清からはacinetoferrinは検出されなかったことからAcbAはacinetoferrin生合成酵素として機能していると考えられた。クローニングした8つのORFsはRT-PCRによる解析からオペロンを形成しており、acbA上流に存在するプロモーター領域からの転写は鉄制御を受けることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日和見感染菌のうちAcinetobacter属菌に着目し、そのシデロフォア(三価鉄キレート分子)を介する鉄獲得機構について分子機構の解析を進めており、関与する遺伝子群の機能解析も進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、Acinetobacter属菌以外にAeromonas属菌を含めた日和見感染菌による感染成立の過程でシデロフォアを介する鉄獲得機構が細菌の定着や増殖段階における寄与とその分子機構を解析し、日和見感染症におけるシデロフォアの病原学的意義の解明を進める。
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