2011 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎治療奏功の鍵を握る「小腸リバビリン輸送代謝連関装置」の実体解明
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22790145
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
降幡 知巳 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (80401008)
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Keywords | リバビリン / プリンヌクレオシドホスホリラーゼ / 小腸 / 吸収 / 代謝 |
Research Abstract |
C型肝炎治療においては、リバビリンの血中濃度がその薬効発現の規定因子となると考えられており、リバビリンの血中濃度はその腸管からの吸収により規定されると考えられる。前年度までに我々は、リバビリンがpurine nucleoside phosphorylase(PNP)により代謝されることを明らかとした。そこで本年度では、腸管PNPのリバビリン吸収における役割を明らかとすること、さらにPNP遺伝子発現変動機構を明らかとすることを目的とした。 ヒト小腸サイトゾルを用いてPNPによるリバビリン代謝活性を解析したところ、ヒト肝臓サイトゾルと比較し、ヒト小腸サイトゾルで約2倍高い活性が認められた。このリバビリン代謝活性はPNPの阻害剤であるガンシクロビルにより消失した。次に小腸モデル細胞であるCaco2細胞にPNPを強発現させ、リバビリン細胞透過におけるPNPの役割の解析をおこなった。その結果、PNP発現Caco2細胞ではコントロール(PNP非導入)細胞の約3倍高いPNP活性が認められ、これに伴いリバビリン細胞透過量はコントロール細胞の約半分に低下した。この時、Caco2細胞の密着結合能に差異は認められなかった。一方、PNP遺伝子発現量を変動させる要因を探索したところ、エタノールによりPNP mRNA発現量の上昇が認められた。 以上本研究の結果から、ヒト小腸においてPNPはリバビリン代謝を担う主要な酵素であること、およびその機能レベルはリバビリン吸収量の規定要因となることが明らかとなった。今後、PNPとリバビリントランスポーターとの機能連関機構を明らかとし、PNP機能の規定要因を明らかとしていく必要がある。また、本研究の結果、PNP発現量はエタノールにより上昇する可能性が示唆されたことから、今後エタノールのリバビリン吸収量に与える影響を明らかとしていく必要があると考えられる。
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