2011 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤性肝障害発症基盤としての肝臓GSH低下に関わる分子機序の解析
Project/Area Number |
22790146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 晃成 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30323405)
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Keywords | 医療・福祉 / 薬剤反応性 / 薬剤性肝障害 / トランスポーター |
Research Abstract |
前年度までの結果より、ラットで確立されているLPS事前投与後の種々薬物による薬剤性肝障害(DILI)発症には肝臓中グルタチオン(GSH)の低下が重要であり、この低下は肝細胞から血液へのGSH排出亢進によることを示している。GSH排出輸送体を最終的に同定するには、-各種輸送体ノックアウトの利用、shRNAアデノウィルスを用いたvivoでの投与実験を行なうのが効率的と考え、マウスにおいてもLPS投与による同様のGSH排出亢進の再現を試みた。しかし、当初の予想と異なり、マウスではLPS投与2時間までの短期間で生じるGSH排出亢進がほとんど起こらなかった。このことは、マウスではLPS事前投与2時間後に薬物投与することによるDIL発症が認められない結果とも矛盾しなかった。LPS投与2時間後時点での肝臓内GSHはDDY、BALB、ICRマウスなど複数系統マウスいずれでも低下せず、LPS投与後のGSH排出にはラットとマウスの間で種差がある可能性が示された。一方、マウスではLPS投与6時間の時点で排出元進以外のメカニズムによると思われるGSH量低下が観察されたことから、この時点で薬物を投与したところ、DILI発症が見られた。このことから、ヒト血清中のメタボローム解析から示唆され、かつラットにおけるLPS+薬物投与実験により支持されていた我々の仮説である、"肝細胞内GSH低下がDIHに重要である"という点に関しては、マウスにおいても概ね成立すると考えられた。以上の結果は、肝細胞内GSH低下がDILI発症に必要な普遍因子であり、各薬物の前臨床毒性試験ではこの点を考慮した適切な肝障害評価モデルの利用が肝要であることを示した点で、重要な知見である。
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[Journal Article] Itraconazole-induced cholestasis : involvement of the inhibition of bile canalicular phospholipid translocator MDR3/ABCB42011
Author(s)
T.Yoshikado, T.Takada, T.Yamamoto, H.Yamaji, K.Ito, T.Santa, H.Yokota, Y.Yatomi, H.Yoshida, J.Goto, S.Tsuji, H.Suzuki
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Journal Title
Mol Pharmacol
Volume: 79
Pages: 241-250
DOI
Peer Reviewed