2010 Fiscal Year Annual Research Report
炎症惹起時血液脳関門PGE2排出低下の分子機構:薬剤誘発性脳炎副作用回避への展開
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22790150
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
赤沼 伸乙 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 助教 (30467089)
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Keywords | 血液脳関門 / プロスタグランジン / リポ多糖 / 炎症 / β-ラクタム系抗生物質 / クリアランス / 排出輸送機能 / 有機アニオン輸送担体 |
Research Abstract |
申請者はこれまでの研究から血液脳関門(BBB)を介し、PGE2が排出されることを見いだしており、本機構は脳におけるPGE_2不活化について少なくとも一部を担う可能性が考えられる。しかし、炎症など、脳においてPGE_2が蓄積するような状態において、BBBを介したPGE2排出機能が正常に保たれているかは不明である。そこで、リポ多糖(LPS)をマウスに対し腹腔内投与することによって、炎症を惹起させ、炎症時において血液脳関門PGE_2排出輸送機構が変動するかをmouse brain efflux index (BEI)法を用いて評価した。その結果、[^3H]PGE_2の排出はLPS投与マウスにおいて大脳皮質からのPGE_2の排出半減期は7.7倍上昇した。従って、炎症時においてBBBを介したPGE_2排出能は減弱していることが示唆された。加えて、正常マウスにおいて脳からBBBを介したPGE_2排出を阻害するcefmetazole (5mM)をLPS投与マウスに対し大脳皮質内に前投与した結果、減弱したPGE_2排出はさらに阻害された。加えてcefmetazoleを静脈内へ200mg/kg投与し、解析を行った結果もまた、減弱したPGE_2排出はさらに阻害された。以上の結果から、LPS投与による炎症惹起時においてBBBを介したPGE_2排出能は低下すること、さらにcefmetazole投与によってその排出はさらに阻害されることが示唆された。
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