2010 Fiscal Year Annual Research Report
アダプター・MDR1欠損マウスを用いた消化管薬物吸収機構と疾患発症のインビボ解明
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22790152
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉浦 智子 金沢大学, 薬学系, 助教 (70542190)
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Keywords | トランスポーター / アダプタータンパク質 / 消化管吸収 / PDZK1 / BCRP / OATP1A2 / 薬物生態学 |
Research Abstract |
本年度は、薬物の消化管吸収に働くin vivoで重要な新規輸送機構の解明を目的として、in vitroおよびin vivo実験でトランスポーターの機能・発現調節因子であることを示唆してきたアダプタータンパク質PDZK1に着目した。申請者はpdzk1遺伝子欠損マウス(pdzk1^<-/->)を用いた検討により、PDZK1は小腸刷子縁膜上に発現する複数の取り込みトランスポーター(PEPT1, OCTN2, OATP1A)の発現およびトランスポーター基質となる薬物の消化管吸収を制御することをin vivoで明らかとした。そこで本研究では、pdzk1^<-/->を用いることで消化管吸収メカニズムが未解明な薬物の輸送機構を解明できると考え、従来、単純拡散で消化管吸収されると考えられてきたcimetidineに着目した。予想とは異なりpdzk1^<-/->ではcimetidine経口投与後の血漿中濃度が高値を示し、PDZK1が小腸刷子縁膜上に発現する排出トランスポーターを制御することをin vivoで明らかとした。さらに、PDZK1はcimetidineの輸送に関わる排出トランスポーターBCRPと相互作用することを明らかとした(論文投稿中)。また、pdzk1^<-/->の小腸において、BCRPのmRNAレベルは変化しないにも関わらず、小腸刷子縁膜でのタンパク質レベルでの発現量は減少し、PDZK1によって転写後調節されることが示唆された。遺伝子発現細胞を用いた検討においても、PDZK1存在下においてBCRPの発現および輸送能は増加し、in vivoと同様の結果が得られた(論文投稿中)。このようにPDZK1は小腸に発現する取り込みおよび排出トランスポーターを制御することで、生体を異物から防御していると考えられる。以上、本研究は順調に進行している。
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Research Products
(9 results)